ソニーのVAIOシリーズにおけるフラグシップモデルとして君臨する「type R master」。常に最新のアーキテクチャとソフトウェアを取り入れ、快適な動画・画像編集環境を実現しているのに加え、高い静音性と拡張性を確保。自作ユーザーにとっても魅力的に映るマシンとなっている。最新モデルでもその流れを汲み、さらに性能・利便性に磨きがかかっている。

最新アーキテクチャーを採用するVAIOのフラグシップモデル「type R master」

自在なレイアウトを実現する「ツインユニット・コンセプト」

「type R master」でもっとも特徴的なのが、CPUやHDD、グラフィックボードなどを収めた「メインユニット」と、光ドライブやメモリーカードスロット、USBなど頻繁に使う機能をコンパクトにまとめた「アクセスユニット」のセパレート構造を採用していること。これにより、メインユニットはデスクの下に、アクセスユニットはディスプレイの隣に配置するなど、利用環境に合わせて自由にレイアウトすることが可能だ。縦置きと横置きのどちらにも対応しているので、自分にとってベストな配置を見つけよう。

上段がアクセスユニット、下段がメインユニット。セパレート構造を採用することで、利用環境に合わせたレイアウトが可能に

ユニット同士は専用のユニットケーブルで接続。ソニースタイルでは、4mと1.8mのケーブルをセットにした仕様も用意している

バツグンの拡張性を持つ「メインユニット」

まずは「メインユニット」をチェックしよう。最大の魅力は、高い冷却性能と静音性が両立されていることだ。本体を3層に分けることで、前方から取り入れた空気を各パーツへと効率よく送り込んで冷却し、背面に抜けていくエアフローを実現。この効率的な冷却によって騒音の大きな原因となる各種ファンの回転数を抑えることに成功した。また、HDDの振動を吸収するHDDケースとノイズ減衰構造を持つ本体前面パネルの採用により、ハイスペックパソコンとは思えないほど動作音は静か。レビュー機にはCPUに「Core 2 Quad Q6700」、グラフィックボードに「GeForce 8600 GTS」が搭載されていたが、本体に耳を近づけなければファンの音が聞こえないほどだった。深夜に利用しても、周囲に迷惑をかけることは皆無だろう。

下段/中段/上段と本体を3層に分けることで、効率的なエアフローを実現

HDDをベイに固定するためのHDDケースには振動吸収用のゴムが貼り付けられている

拡張性やメンテナンス性の高さも見逃せない。HDDには前面パネルをはずすだけでカンタンにアクセス可能。専用のHDDケースにHDDを取りつけて挿し込み、あらかじめ用意されている電源とシリアルATAコネクタを接続するだけで作業完了だ。この前面に装備したベイには4台まで接続でき、内部に用意されているHDDベイを合わせると、なんと最大6台まで搭載が可能。直販専用のVAIOオーナーメードモデルでは、約4.5TB(750GB×6台)という仕様も選べる。地上デジタル放送を録画しようとした場合、1時間で約7.5GBもの容量が必要だ。ハイビジョン放送の録画を考えるなら、HDD容量は多いにこしたことはない。
また、2スロット分を使用する大型のグラフィックボードへの換装が可能なのもポイント。ソニーでは「あらゆるボードの搭載/動作を保証するものではない」としているが、GeForce 8800 GTXなど最高峰のグラフィックボードを取りつけられるのは3Dゲーマーにとってはこれ以上ない魅力のハズだし、将来的にパワーアップできる余地があるのは心強い。このほか、VAIOオーナーメードモデルでは地上デジタル放送や従来のアナログ放送用のチューナーの追加も可能。テレビ録画から3Dゲームまで難なくこなせるマシンに仕上げられる。

4台までは前面パネルをはずすだけでカンタンにHDDを増設できる。合計最大容量は、なんと約4.5TB

2スロットを占有する大型のグラフィックボードも取りつけ可能なスペースが確保されている

よく使う機能を凝縮した「アクセスユニット」

一方の「アクセスユニット」は、ユニット接続ケーブルによって電気も供給されるため好きな場所に配置しやすいのが魅力となっている。アクセスユニットには、光ドライブをはじめ、9種類のメディアに対応したメモリカードスロット、USBやIEEE1394コネクタ、ヘッドホン、マイク端子など使用頻度の高い機能が集中している。Bluetoothを内蔵しているのもポイント高い。さらに、5インチベイを2基備えているのに加え、パラレルATAとシリアルATAの両インタフェースをサポート。さまざまなデバイスを取りつけ可能となっている。例えば光学ドライブを2台搭載させてディスクのコピーがしやすい環境を作れるなど、目的に合わせて柔軟に拡張できるのがうれしいところ。アクセスユニットからもメインユニットの電源を投入できるのも便利だ。

アクセスユニットの前面にはメモリカードスロットやUSBなどよく使う可能性の高い端子や機能が集中する

5インチベイは2基あり、シリアルATA、パラレルATAどちらの接続方法にも対応するため多くのデバイスを取りつけられる