富士通のFMV-BIBLOシリーズは、薄型軽量のモバイルノートから大型ワイド液晶を搭載する、いわゆるデスクノートまで幅広いラインアップを誇っている。その中でFMV-BIBLO MGシリーズは携帯性を重視したモデルに位置づけられている。薄型で2kgを切る重量ながら大型ワイド液晶を搭載するなど、携帯性と実用性を兼ね備えるノートPCとして評価されてきた。
もともと完成度が高かったFMV-BIBLO MGシリーズだが、モデルチェンジごとに着実にブラッシュアップを重ねてきた。最新の秋冬モデルでは、13.3型ワイド液晶搭載モデルとほぼ同じ大きさの筐体に14.1型ワイド液晶を搭載したモデルが追加され、携帯性、実用性に磨きがかかっている。
今回は同社の直販サイト「WEB MART」専用となる14.1型ワイド液晶搭載のカスタムメイドモデル「FMV-BIBLO MG75XN」を試用することができたので、従来モデルからの強化点や、その魅力をお伝えしていくことにしたい。
基本情報 |
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薄型軽量ながら長時間のバッテリ稼働が可能
秋冬モデル「FMV-BIBLO MG75XN」の大きな特徴は14.1型ワイドという大型の液晶を搭載し、さらにCPUが強化され処理能力がパワーアップしている点だ。見やすい液晶や快適なレスポンスが得られる性能は魅力だが、バッテリ稼働時間にとってはマイナスになるケースが多い強化でもある。冒頭で述べたようにMGシリーズは2kgを切る重量と薄型ボディの携帯性も特徴のひとつ。購入を検討する際にモバイルの利用を重視してバッテリ稼働時間を気にする読者は多いだろう。
だが、心配は無用だ。FMV-BIBLO MG75XNのバッテリ稼働時間は(公称)約6.7時間(注:インテルCore 2 DuoプロセッサT7250搭載時、T7500搭載時は約6.6時間)を誇る。13.3型ワイド液晶を搭載するモデルと比較しても遜色ないバッテリ稼働時間が確保されているのである。
もっとも、バッテリ稼働時間は利用スタイルで大きく変わるもの。筆者が実使用環境でチェックしたところ、フルバッテリ状態から4時間強の稼働ができた。内蔵無線LANを使用し続け、ネット上のメディアコンテンツの再生を含むという、バッテリ消耗が激しいはずのスタイルで4時間も利用できたのだから、一般的なモバイルノートPCと比べても遜色のない稼働時間である。必要の無いときには無線LANをオフにするなど工夫すれば、5時間前後までは充分バッテリ稼働時間を引き延ばすことができるだろう。
FMV-BIBLO MG75XNにプリインストールされている専用の省電力ユーティリティの使い勝手も秀逸。PCカードスロットや有線LAN、CD/DVDドライブなどの電源を個別にコントロールでき、バッテリ稼働時、利用したいときだけCD/DVDドライブの電源をオンにするといった操作が楽にできる。このツールもバッテリ稼働時間の延長に役立つハズだ。
増設バッテリとCD/DVDを選べるモバイル・マルチベイ構造
標準のバッテリだけでも十分な稼働時間が確保されているFMV-BIBLO MG75XNだが、カスタムメイドモデルでは増設バッテリの追加が可能。増設バッテリ搭載時にはなんと9.3時間(インテルCore 2 Duo プロセッサT7250搭載時の公称。T7500を搭載した場合は9.2時間)ものバッテリ稼働時間が得られる。通常の利用ならほぼ丸一日、バッテリで利用し続けられるハズだ。
増設バッテリというとボディから張り出して携帯性を損なうイメージがあるが、FMV-BIBLO MG75XNではCD/DVDドライブを取り外し、そのスペースにバッテリを搭載する「モバイル・マルチベイ構造」が採用されている。
もちろん、モバイルマルチベイからCD/DVDドライブを取り外しただけの状態でも利用が可能だ。「バッテリ稼働時間は内蔵バッテリで十分、それよりもできるだけ軽くしたい」という場合にはCD/DVDドライブを取り外し、付属のカバーを付けて持ち出せるのだ。
ちなみに、CD/DVDドライブ非搭載で100gほどの軽量化が可能。わずか100gの軽量化とはいえ、バッグに入れて担いだときの印象はかなり変わり、体への負担が軽くなる感じだ。PCを持ち運ぶことが多いヘビーなモバイラーにとって、スタイルによって使い分けられるモバイルマルチベイは何かと役に立つだろう。
見やすい液晶に使いやすいキーボードやポインティングデバイス
以上のように 標準のCD/DVDドライブ搭載状態でも十分なバッテリ稼働時間が得られ、さらにバッテリで長時間使いたいときには携帯性を損なうことなく増設バッテリの搭載ができるなどモバイルに強いFMV-BIBLO MG75XNだが、実用性の高さも大きな特徴だ。
まず、目を引くのが大型の液晶だろう。搭載されている液晶は14.1型ワイドのスーパーファイン液晶である。モバイルノートでは異例といってもいいほど大型の液晶だが、実はボディのサイズは13.3型ワイド液晶搭載モデルとほとんど変わらない。むしろ13.3型ワイド液晶モデルよりもわずかながら薄型・軽量化に成功している。一見して分かるように両サイドの枠を5.6mmにまで細くすることで、既存機種とほぼ同じ大きさのボディに14.1型ワイドの液晶を搭載しているのだ。
枠が細い外見から、強度に不安を感じる読者もいるかもしれないが、FMV-BIBLO MG75XNはプラスチックとマグネシウム合金のハイブリッド構造を採用。大型液晶を搭載しつつ、200kgfを再現した天板からの全面加圧といった厳しい試験をパスする強靱さが実現されている。
表示される画像の輝度、コントラストともに高く美しい。スーパーファイン液晶の表面は、いわゆるツルツルの光沢系だが、低反射コーティングのおかげでディスプレイへの映り込みも押さえられ、このタイプの液晶にありがちな映り込みによる見づらさもほとんど感じさせない点も特筆できるだろう。
解像度は1280×800ドットのワイドタイプ。この解像度で14.1型だから、ご想像通り文字やアイコンは大きく非常に見やすい。視力に自信のない方や目の疲れやすい方でも、この液晶なら不自由なく利用できるハズだ。
ディスプレイと並んで使い勝手を左右するのが、キーボードやポインティングデバイスだ。
大型ワイド液晶を搭載するノートPCらしくキーボードは十分に大きく、キーピッチは19mm、ストロークも3mmが確保されている。もちろん省略されているキーもなく、デスクトップから切り替えても違和感のない、打ちやすいキーボードである。2kgを切る薄型軽量ノートで、これほど充実したキーボードを備える機種は珍しい。
また、キーボード上部には4つのワンタッチボタンが装備されている。このボタンはMODEボタン(5つ目のボタン)でメディアプレーヤーの操作と、登録済みアプリケーションの起動ボタンへの切り替えができるようになっている。アプリケーションの起動はスリープ状態でも有効だ。ワンタッチボタンは付属ツールでカスタマイズできるので、メールやブラウザに加えて頻繁に使うアプリケーションを登録しておけば便利に使えるだろう。
カスタマイズ可能なアプリケーションボタン。MODEボタンでメディアプレーヤー操作ボタンから登録済みアプリケーションの起動ボタンに切り替えられる |
ワンタッチボタンの設定ツール。任意のアプリケーションを割り当てることができる |
FMV-BIBLO MG75XNは搭載するインタフェースも充実している。USB2.0×3はもちろん、IEEE1394(4ピンミニコネクタ)を搭載。また、左サイドには外部ディスプレイを接続するVGA15ピン端子、PCカードスロット、そしてメモリカードスロットを装備。メモリカードスロットはSD、xD Picture、メモリスーティック(PRO対応)の3種に対応する(PCカードスロットはアダプタでCFカードに対応できるので4種のメモリカードに対応できる)。美しい画像の表示と合わせてデジカメとの連携に便利に使えそうだ。
右サイドにはアナログモデム端子が装備されている。海外出張が多い方なら経験済みだろうが、海外ではアナログモデムの必要に迫られることが少なくない。最近はアナログモデムを搭載しないノートPCも増えているが、国内でもビジネスでの利用では必須になることもあるわけで、レガシーと切り捨てずに搭載している点はありがたい。
以上のように2kgを切る軽量と最薄部24.3mmというスペックを誇るモバイルノートでありながら、機能やユーザービリティ面はまったく損なわれていないのが本機の特徴だが、次ページでは内蔵デバイスやパフォーマンスに注目してみたい。