NTTドコモは、スペイン・バルセロナで開催された携帯関連見本市「Mobile World Congress 2013」で同社のサービスやNFCサービス、そしてフランス・Orangeから発売される「らくらくスマートフォン」を出展し、来場者の注目を集めていた。
らくらくスマートフォンは、富士通が開発し、ドコモから発売されているシニア向けのスマートフォン。富士通が長年開発してきた技術をつぎ込み、ターゲットを絞った戦略が功を奏して、一定のブランドを確立してきた。今回、Orangeがこのらくらくスマートフォンをフランスで販売することを決めており、海外展開が実現することになった。
ドコモブースでは、このらくらくスマートフォンとスマートフォン for ジュニアという2つの端末を展示。海外では、こうしたターゲットを絞った製品は珍しく、取材中もちょうど初老の女性が詳しい説明を求めているなど、反応は上々のようだ。
NFCコーナーも来場者の注目が高かった。今回のMWC 2013では、「NFC Experience」と題してNFC関連のブースを集めたコーナーに加え、入場パスのNFC対応、NFC対応スマートフォンの配布、バルセロナの店舗でのNFCクーポンや支払いの対応などを実施しており、NFCへの注目が高まっている。このため、「NFCについてこのブースに聞きに来る人もいる」(ブース担当者)というぐらいだったという。
ドコモは今回のMWCにあわせて、韓国KT、中国チャイナモバイルとともにNFCのローミングに関する仕様書を発表。サービスのローミングをどうすべきか、端末の仕様をどうすべきかなどがまとめられており、ブースで配布されていた仕様書は、頻繁に来場者が取りに訪れていた。
ローミングはNFC Forumの仕様に基づいており、これに準拠する形で実装することで、この3カ国以外でもローミングが可能になる。それに加えドコモが日本で取り組んできたおサイフケータイ普及のノウハウも盛り込まれている。やはり、日本でこれだけおサイフケータイが普及した理由についての問い合わせは多いそうだ。
また、ブースで新しく展示されていたのがサムスン製のNFCチップで、FeliCaとNFC Type A/Bを1チップ化している。これを端末に搭載することで、日本向けのおサイフケータイと、NFCの両対応が可能になり、2014年にも搭載端末が登場する見込みだという。もちろん、海外向けの端末がこれを採用するかどうかはメーカーなどの意向次第だが、サムスンがGALAXYシリーズにこれを採用してボリュームが出れば、チップコストも下がり、NFC Type A/B用チップを搭載するのとほとんど変わらなくなることで、採用例が増えることを期待する。
日本では、すでに一般に使われているPOSレジなどではFeliCaとNFCの両対応が多いが、特に交通系のモバイルSuicaに関しては、要求仕様が高く、特にスピードの点では、現時点でFeliCaでないと難しい。そのため、海外の端末でも、両対応チップを搭載していれば、国内のおサイフケータイサービスも利用できるため、期待度は高い。