KDDIは17日、今年冬モデルの新製品発表を行い、800MHz帯の周波数帯を使ったLTEサービス「au 4G LTE」を11月2日からスタートさせ、それと同時に、新サービスもスタートすると発表した。田中孝司社長はこれまで、「スマートパスポート構想」として、マルチキャリア、マルチネットワーク、マルチデバイスの「3M戦略」を掲げてきたが、今回の発表で「スマートパスポート構想が完成したと思っている」とアピールする。同社の進めてきたスマートパスポート構想について振り返るとともに、今後提供する新サービスについて発表会の内容をもとにお伝えする。
スマートパスポート構想の完成
スマートパスポート構想は、今年1月16日に発表され、2月15日から第1弾の「auスマートバリュー」の受付が始まった。スマートバリューは、自宅ブロードバンド回線を指定のISPにすると、携帯電話の毎月の利用料が1,480円割り引きになるというもの。すでに200万加入を突破し、対応するISPも同社の光回線に加え、全国CATV事業者のインターネットサービスに拡大。CATV利用可能エリアの85%の世帯が対象になるという。
続いて、スマートフォンアプリを月額定額で使い放題になる「auスマートパス」が月額390円で3月1日に提供開始された。auが指定するAndroidアプリが使い放題になり、アプリ数も着実に増やしたほか、アプリ以外にクーポンやオンラインストレージ、セキュリティサービスも提供して契約数を伸ばし、累計250万を超えた。iPhone向けにはWebアプリの使い放題も提供し始めている。
さらに月額590円で新作を含む映画が見放題の動画配信「ビデオパス」、チャンネルごとに指定の楽曲が聴き放題になる「うたパス」も月額315円で提供を開始し、一定の契約数を確保してきた。
自宅の無線LAN環境を整備するため、無線LANルーターの「HOME SPOT CUBE」の無料レンタルを行い、スマートバリューによるブロードバンド回線とあわせて、自宅のネット環境の整備、データオフロードにも力を入れた。
「我々が本当に大事にしている」という「au ID」は、契約者と紐付くIDで、これを利用することで、主契約のスマートフォン以外の端末でもビデオパスが使えるなど、コンテンツをマルチデバイスで利用可能になる。契約数が1,000万を突破し、「スマートパスポート構想が短期間にたくさんの支持をもらった」と田中社長は強調する。
マルチネットワークでは、従来のブロードバンド回線、3Gの携帯回線、WiMAX、公衆無線LANサービスのau Wi-Fiといったネットワークに加え、今回のau 4G LTEを提供。これによって、マルチネットワークも完成し、「スマートパスポート構想が完成した」と田中社長。
「来期は新たな進め方をしていきたい」と、スマートパスポート構想に続く新たな戦略を示唆した。