――芝居をずっと続けてきたということですが、松崎(亜希子)さんと「乙女企画クロジ☆」を作ることになったきっかけは?

福圓「不思議な感じなんですけど、もともと劇団をやりたいと言ったのは、松崎でもなく、私でもなく、まったく別の女の子で、最初は嫌だって言ったんですよ。責任が持てないので。でもちょうどその頃、声のお仕事をしっかりとやり出して、ありがたいことに仕事量も増え始めたのですが、それによって自分で考えて動くことが少なくなってきた時期でもあったんですよ。アニメの場合、役が決まった状態で台本を渡されて、収録のときだけ作品に関わって終わってしまう……そういう意味では受動の仕事だと思っています。しっかりと枠組みを作っていただいたところに参加するので、どうしても受身の仕事になる。もちろん収録のときは能動的に行くんですけど、普段が受身の状態なので、何か自分で作ってみるのもいいかなって」

――それで劇団の立ち上げに参加したわけですね

福圓「ただ、やっぱり2人でやるのは不安だったので、松崎も引き入れて3人で始めたんですけど、2、3回の公演で、言いだしっぺの女の子が抜けちゃって(笑)。それで、残された私と松崎の2人でこれからどうしようって話をして、せっかくなので続けてみようと。実際、その頃は全然上手くいってなかったんですよ。劇団としてもまだまだ未発達だったので、ここでやめてしまうのはもったいないというよりも、悔しかった。なので、2人で続けてみたら、そのままドンドンのめりこんでしまって、結局やめられなくなってしまいました(笑)」

――クロジ☆に関して、福圓の生活の何%ぐらいを費やしていますか?

福圓「それはすごい時間を費やしていますよ。『私たちは婚活をせずに劇団をやっていたよね』って、松崎ともよく話しています。もちろん嫁に行く気は満々なんですけど(笑)。ただ、それぐらい、この8年間は劇団のことしか考えていなかったといっても過言ではないぐらいですね。劇団をやっているか、声のお仕事をしているかといった感じで、時間があれば、いつも松崎と劇団のことを話し合っています。ひどいときなんか、最近はちゃんとしていますが、睡眠時間が毎日2時間ぐらいというのが1カ月続いたり、布団で1カ月寝なかったりということもありました」

――睡眠は重要ですよ

福圓「ですよね。最近はそれだと頭が回らなくなってきたので、ちゃんと寝るようにはしていますが、本当にそれぐらい劇団に捧げている時間は多いです。趣味がないんですよ。劇団が楽しすぎて。でも今回、延期になって初めてクロジ☆のことを忘れました。一回停止したもの、凍結したものをふたたび動かすのには、すごいエネルギーがいるんですよ。なので、意図的に一回頭から切り離そうと。普段ならひとつの企画を動かしているときに、その次とその次の企画も一緒に動かすんですけど、あえてそれも動かさず、『金瓶梅』もとりあえず忘れて、他の劇団の、自分が役者だけをやれる舞台、100%女優としてのみ扱ってくれる舞台にたくさん出させていただきながら、いったん頭の中をクリーンにして、あらためて今回、新しいスタートを切らせていただきました」

――いったん劇団を忘れで、その間に婚活……というわけではないんですね

福圓「クロジ☆は忘れましたけど、婚活も結局しなかったです(笑)。ただいろんなことをして結構充実した時間でした。私の周りには、女遊びの激しい男性ってあまりいなくて、比較的草食系の男性ばかりだったんですよ。『金瓶梅』は肉食系男子が主役なんですけど、まったくその思考がわからなかったので、この機会に、派手そうな男の人に『ちょっとご飯食べない?』って声をかけたりして、婚活ではなく、リサーチをしてみました(笑)。その結果として、決め付けるのも良くないと思うのですが、女遊びの激しい男性像のコンプレックスというものが、ある程度、見えてきたところもあったので、今回の舞台にはそのあたりも投影してみたりしています。これも、空白があったからこそできたことですよね」

――なんだかんだで結局舞台のことが忘れられていないですよね

福圓「結局のところはそうでした(笑)。全然休めていなかったです」

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