――いずれにせよ、一年間の空白が舞台にとっては良い方向に向かったわけですね

福圓「そうですね。男性像についてお話しましたが、女性像もけっこう変わりました。もともと女の人はけっこう束縛されたがるところがあると思っていて、『金瓶梅』でもそういった女性像を描いていたんですけど……」

――福圓さんも束縛されたがるほうですか?

福圓「自由な仕事をしている分だけ、あなたの場所はここだよって決めてほしかったりもします。ただ30歳になってみてあらためて考えたんですけど、キャリア女性って常にお腹を空かせているんじゃないかなって。どんな男と付き合っても納得できない。男性ももっと上、仕事ももっと上。どこまでいっても満足できないんですよ。自分の幸せの価値観が自分で決められない。そんな女性が面白いなって思いつつ、自分自身もこのまま仕事ばかり続けていったら果てがないかもしれない。次はこんな仕事がしたい、次はこんな表現がしたい……はたして私は、いつどこで満足するんだろうって思うと、怖くなってきたんですよ。『金瓶梅』の主役の金蓮の場合、仕事はしていませんが、常に自分の置かれている現状が許せず、上に行こうと考えているんですけど、『じゃあ、上ってどこ?』って話になると、結局よくわかっていない。そんなところもキャラクターに反映させていけば、本当に面白い舞台になるんじゃないかなって思いました」

――福圓さんも、まだまだ上に行きたいですか?

福圓「そうですね。最終的に何をしたいというわけではないですけど、あれもしたいし、これもしたい。現状に満足できない感じはあります。舞台ももっとやりたいし、お仕事ももっともっとやりたい。

――ちなみに、『異説 金瓶梅』の後の活動などは考えていますか?

福圓「今はあまり考えていないです。一回リセットしたので、『金瓶梅』をやりきらないことには先に進めないです」

――もちろん、これで終わるということはないですよね

福圓「ないとは思いますが、本当に先のことは決めていないです。女ですから、いつどこで私生活の話が入ってくるかもしれないですし。とにかく、『金瓶梅』を終わらせないと、先には進めないです」

――それでは最後に、舞台を楽しみにしている方へのメッセージをお願いします

福圓「一年間延期するという経験が私自身も初めてだったので、どうなることかと思っていたのですが、結果としては絶対に前回よりも素敵なものができそうな予感がしています。ハデな人間模様、現実離れした設定にはなっていますが、どれだけ皆さんが身近に感じでいただけるかを、ものすごく考えて作っておりますので、ぜひ身構えせずに、ちょっと隣の変な家を覗きに来たぐらいの感覚で、遊びに来ていただけるとうれしいです。『初めて舞台を観にいくのですが、大丈夫ですか?』みたいな質問もよくいただくのですが、うちの舞台は、初めての方でも観やすいように、わかりやすいように作っていますので、初めての観劇にはピッタリだと思います。アニメーションの私しか知らない方には、ちょっとビックリするようなところもあったりしますが、そのあたりも楽しんでいただけたらいいなと思っています。よろしくお願いいたします」

――ありがとうございました


「乙女企画クロジ☆」の第10回記念公演「異説 金瓶梅」は2012年4月26日より公演開始。チケットは前売・当日ともに全席指定で4,200円。前売はこちらのサイトにて。公演日程など、そのほか詳細は「乙女企画クロジ☆」の公式サイトをチェックしてほしい。