――ちなみに今回、若手声優の大久保瑠美さんを起用した理由は?

稲垣P「若手の声優さんの中で、特に魅力的な方を何人か教えていただいて、その中から椋本さんのイラストのイメージと合いそうな方を選んで、最終的に椋本さんと相談して決めました」

――椋本さんの意見も入っているんですね

椋本氏「そうですね。ただ、あまり私のイメージに偏らないほうがいいのではないかと思っていて、たとえば挿絵のお仕事で感じたことなんですけど、小説家さんとイラストレーターがあまりにハマリすぎると、世界が広がらなくなることがあるんです。被っているところももちろん必要なんだけど、違いもあるほうが上手くいくことが多いんじゃないかって」

――ちょっとかすっているぐらいがベスト?

椋本氏「そのほうが良い作品になることが多いんじゃないかと思っています。一見、合わなそうな組み合わせでも、化学反応が起きて、世界がより広がったりする。その判断をするのは第三者のほうが適しているので、だから小説家さんが絵描きを選ぶのではなく、編集さんが面白いと思った組み合わせのほうが、ベストなんだろうなと。で、それは絵と声でも同じだと思ったので、私が決めるのではなく、意見はいいますけど、最終的には稲垣さんが選んでくださいといって放り投げました(笑)」

――実際に大久保さんの声があたっている映像をみたときの感想はいかがでしたか?

椋本氏「本当に可愛いくて、逆に申し訳ない感じがしました(笑)」

稲垣P「絵が可愛くなるのは間違いないと思っていたので、それにあてる声や話し方にも可愛さの魅力が欲しかったんですね。そういう意味でも大久保さんにお願いできてよかったと思います。本当に可愛く演じていただきました」

――今回、イラストのポーズは基本的に1パターンですが、微妙に顔の表情が変わったりしますよね

椋本氏「表情の変化については、私からやりたいですって言ったんです。60日も放送されるわけですから。セリフのバリエーションも多くなる。それなら、顔の表情も何パターンかあったほうがいいんじゃないかと思いまして。本当は60パターンのイラストを描ければ良かったのですが、さすがにそれは物理的にも無理があるので、ゲームの顔グラのような感じで、表情を変えられたら面白いのではないかと思って、提案してみました」

――最初にこの企画のお話を聞いたときは、60日すべて絵が変わるのかと思っていたのですが、冷静に考えれば、それはちょっと難しいですよね

椋本氏「もうちょっと増やしたほうが良かったですか?」

稲垣P「いやいや、6種類の表情を描いていただけただけでもすごくありがたかったです」

――今回のイラストのコンセプトをあらためて紹介していただけますか?

椋本氏「夜の放送で、視聴者の方も就寝前だと思いますので、『今日も一日お疲れ様でした』といった感じで、ほんわかしていただけるような絵にしたかったというのがありますね」

――特にキャラクターの設定のようなものはあるのですか?

椋本氏「私自身は特に作っていないのですが、声をあてるときに大久保さんが考えてくれたみたいです(笑)」

稲垣P「椋本さんとお話していたような内容を、私のほうで適当に膨らませたアイデアがいくつかありまして、住んでいる場所など、だいたいの設定が決まっているんですけど……」

――ちなみにどこに住んでいるのですか?

稲垣P「一応、東京です。それで、ベースとしてはこんなことを考えていますということを、アフレコのときに大久保さんにもご相談してみました。すると大久保さんからも、『じゃあ、こういう感じに考えてもいいですか』といったアイデアをいただきまして、最終的なものができあがった感じです」

――やはり演技をするうえで、設定は重要になりますよね

稲垣「そうですね。大久保さんの中にキャラクターを作り上げるために、ある程度の設定が必要だということで、自由に新しい設定を足していただいています」

(次ページへ続く)