――小鳥遊がまともだとおっしゃるぐらい『WORKING!!』という作品には個性的なキャラクターがたくさん出てきますが、その中で、福山さんが特に注目してほしいと思うキャラクターが誰ですか?
福山「やはり、この作品においてマスコット的なポジションになっているぽぷらですね。小鳥遊との恋愛軸といったものはまったくないのですが、彼女がちょこまかと動いてくれることで、作品に良いテンポが生まれていると思いますし、彼女自身もいろいろなキャラクターの中で橋渡し的な役割を担っているところがある。作品が殺伐とした雰囲気にならず、とてもライトに仕上がっているのは、たぶん彼女がいるおかげだろうなって思っています」
――そのほかに注目したいキャラクターは?
福山「第1期では7話からの登場になりますが、山田というキャラクターがおりまして、彼女が出てきたことによって、よりこの作品がカオスになっていった感じがします。彼女の行動からいろいろな問題が起こったりもしますし」
――小鳥遊は山田にかなり振り回される感じですよね
福山「小鳥遊は人によってさまざまな表情で向き合うんですよ。たとえば、ぽぷらにはすごく好意を持った対応だし、伊波に対しては警戒心を持っている。そして佐藤や相馬に対しては、男の先輩に対する表情を見せるのですが、その中でも山田に対しては、どちらかというと蔑むような目で見ています(笑)。そういう意味では、山田の登場によって、小鳥遊の表情にもバリエーションが増えましたし、作品自体も彼女が問題を起こしてくれることによって、コメディーとして成立する部分が多々あったのではないかと思います」
――福山さんがおっしゃるように、小鳥遊の態度はキャラクターによって大きく変わりますが、そのあたりは演じる上で大変なところでしょうか?
福山「そこはとても面白かったところで、大変だと思うことはなかったです。この作品はすごくセリフ量が多いのですが、とてもテンポが良いので、演じていて辛いと思うことがないんですよ。スタッフの方々が、呼吸まで計算したような絵作りをしてくれたので、そのあたりを汲み取って芝居をすれば、何ら苦もなく演じきれるという感じでした。大変良い環境で芝居ができたので、演じていてとても楽しかったです」
――小鳥遊の場合は、ファミレスだけではなく、自分の家も舞台として登場します
福山「小鳥遊は、お父さんが小さい頃にお亡くなりになっている家庭において、お姉さんたちに囲まれて育ってきたのですが、そのお姉さんたちは誰も家事ができないため、結局自分がやることになり、さらに妹が大きくなって、家事などを手伝ってくれるようになったのはいいものの、今度は身長が抜かれそうになったり……。小鳥遊がちっちゃいもの好きになった理由は、すべてお姉ちゃんたちが大きいというところにあるのですが、妹までもが、小学生なのに170cm近くになるという状況で(笑)。そういった小鳥遊のバックボーンを見ると、ただ残念な人ではなくて、むしろ残念な環境にいた人なんだなって感じがしました」
――小鳥遊の場合は、伊波まひるとの絡みも注目ポイントではないでしょうか?
福山「事前にある程度原作を読んではいたのですが、あまり先々まで読み込んではいなかったので、まさかああいった展開になっていくとは思ってもみなかったですね。伊波は、まともな感性の持ち主ではあるものの、大変残念なところのある困ったちゃんなので、小鳥遊との関係が今後どのようになっていくかは楽しみなところでもあります。決してほのぼのとは見られないですけど(笑)」
――基本的に小鳥遊の女性に対する視線はクールですよね
福山「おそらく、家庭環境のこともあって、女性に対して付き合うとか、好きだとかっていう感情がわかないのではないかと思います。ただ、意識的にはそういう感じですが、無意識下ではちょっとまだわからないですね」