――カップリングには、『ファントムブレイカー』のEDテーマとなる「Fateful Actor」の2つのバージョンが収録されます
長谷川「まずオリジナルのほうの『Fateful Actor』ですが、ジャズ調の軽快なリズムになっています。私はこういう曲が大好きで、歌うというよりもリズムに乗って身体を動かしているのがすごく好きなんですよ。実は仮歌を、作曲していただいた千葉梓さんご本人が歌ってくださったのですが、もうそのままでいいんじゃないかっていうぐらい、雰囲気もバッチリで、お声も綺麗で……。あまり仮歌を聴き込むと、マネしてしまうので、普段はあまり聴かないのですが、今回はものすごく聴き込んで、歌の練習より、踊っていました(笑)。イントロも大好きで、収録のときはだいたい4つ(4小節)前から出していただくのですが、どうも私はイントロの頭から出していただいて、"来た来た来たー"って感じで録らないとノッてこないみたいで(笑)。4つ前から録ったときよりも、練習でイントロの頭から通して歌っているときのほうが良かったって言っていただいたのですが、個人的にも気分が盛り上がっていくのがわかったので、やはりリスナーの皆様にもイントロから楽しんでいただきたいなと思いました」
――作曲はベイシスケイプの千葉梓さんですね
長谷川「初めてお会いして、初めて作曲していただいたのですが、いやもうとにかく曲がカッコよくて(笑)。収録の前にいただいたカラオケよりも、収録当日に楽器が増えていることは今までも何度かあったのですが、そこからさらに"ピアノソロを加えちゃいました"とか、収録したときよりもさらにカッコよくなっていたりして、すごくアイデアとインスピレーションあふれるすばらしい女性だと思いました」
――作詞はオノダヒロユキさん
長谷川「オノダさんはキャラクターソングでもお世話になっていて、デビュー当時から見守ってくださっている方で、心の父ぐらいの信頼を寄せております。オノダさんの歌詞って、男性なのに、女性のフッとした仕草が見えるというか、そういうところをものすごく繊細に表現されるので、ドキッとしました。特に2番の歌詞とか、ちょっとセクシーな感じで、『火照る体の理由は知ってる』という部分など、自分も「知ってる! 言わないけど知ってるよ」みたいな印象を受けました(笑)。ご本人も、"2番は妖艶な感じになっている"とおっしゃっていて、"本当に男性なのに、女性の心というか、仕草がイメージできる歌詞だなって思い、またドキドキしましたね」
――女性目線の歌詞という感じでしょうか?
長谷川「『ファントムブレイカー』という作品は、ひとりひとりのキャラクターがそれぞれいろいろなものを抱えていて、いろいろな立場で戦っていくのですが、そのキャラクターたちの抱えている悩みやジレンマといったものが、すごく重なる歌詞になっていて、全部のキャラクターのストーリーモードをクリアして、その後に歌詞を読んでいただくと、また感じるものも変わるのではないかというぐらい、深い歌詞だと思いました」
――今回は、2バージョンのレコーディングが行われています
長谷川「最初にレコーディングしたのが、オリジナルの明るいジャズ調の曲で、もうひとつの『Relieve ver.』に比べるとちょっと明るくというか、前向きな『Fateful Actor』にしようということを収録前にお話させていただいたのですが、ところどころ、声質もあってか性格もあってか、幼くなってしまうところがあって、キャラっぽくなってしまったりするのですが、そこをできるだけ大人っぽく、長谷川の等身大ぐらいの年齢の声になるように気をつけながら収録しました。『Relieve ver.』はボサノバ調で、私は地声で高いところをガーンって出すのがとっても好きなのですが、この曲はやっぱりそうではないなと思い、普段はあまり使わないファルセットを使ったりしています。『Relieve ver.』というのは、痛みを和らげるとか安心させるという意味もあるので、穏やかな夜明けみたいなイメージで歌って、違いを出したかったというのもあったのですが、ファルセットを使い、今までとは違うアプローチができたかなって思いました」
――2つのバージョンを聴き比べた感想はいかがですか?
長谷川「ファルセットのところは"お、変わっているね"って思いました。あと、どちらのバージョンも、千葉さんとオノダさんが収録に立ち会ってくださったのですが、オノダさんは本当に何年も前から私の歌を聴いてくださっている方なんですけど、本当にそのときに「初めて聴く声」というか、「新しい表情を見た」って言ってくださったんですよ。何年も前から私を知ってくださっている方がそう言ってくださったということは、きっと何年も前からキャラクターソングを聴いてくださっている方にも、また違う面を楽しんでいただけるのではないかと思えて、うれしかったですね」