現在はAdobe製品として知られるFlashだが、その少し前はMacromedia、さらにその前はFutureWave Softwareというメーカーが作った「SmartSketch」という製品に行き着く。このFlash技術の始祖とも呼べる製品開発の中心だったJonathan Gay氏が英BBC Newsのインタビューに答え、Flashは今後もインターネットメディアの中心にあり、iPhone向けのFlashサポートも今後数年内のいつかに実現されるだろうと語っている。

米Adobe CTOのKevin Lynch氏が語っているように、Flashの基となる技術はもともとタブレットOS向けに記述されたドローイングソフトだった。1990年代のタブレットPC黎明期に登場したPenPoint OS向けに発売されたSmartSketchは、同OSの商業的失敗を受けプラットフォームをWindowsとMac OS Xへとシフトし、名称を新たに「FutureSplash Animator」とすることで市場に再デビューした。

タブレットPCなどのペン操作向けソフトとして登場したSmartSketchだが、FutureSplash Animatorではリブランディングにあたって用途をインターネット向けのアニメーションツールと位置付けており、これが現在のFlashの原型となった。FutureSplash Animatorを開発するFutureWave Softwareは、Charlie Jackson氏と前述Jonathan Gay氏によって設立されており、Gay氏は事実上のFlashの父といえるだろう。

だが、1996年にFutureWave Softwareは米Macromediaによって買収され、FutureSplash Animatorはその名称を現在の「Flash」へと改名した。この買収によりGay氏はMacromedia CTOに就任しており、これはAdobeがMacromediaを買収する2005年まで続いている。

FutureWave Softwareが買収される以前、MacromediaはDirectorという同種のツールを主力製品として抱えていた。FutureSplash Animatorの取り込みはライバル企業の買収という形となるが、結果として生き残ったのはFlashのほうであり、これが同社にとっての最大の主力製品となった。現在Flashは、市場に出荷されるほとんどのPCに搭載されている。また「Flash」という名称だが、これは「Future」と「Splash」を組み合わせた造語だといわれている。