現在はドローイングソフトやリッチメディアの世界を離れているJonathan Gay氏だが、同氏はBBCのインタビューに対して「Flashは今後もインターネットメディアの独占的なツールであり続け、今後数年のいつの日か、iPhoneのFlashサポートが実現されるだろう」とコメントしている。米Apple CEOのSteve Jobs氏のかたくなな態度を知る者からすれば、こうした発言はにわかには信じがたいが、Gay氏によればFlashが経過してきた文化によるものだという。
例えばAppleは、アプリ審査からコンテンツまで、ゲートキーパーとしてiPhoneに厳しい管理体制を敷いている。Gay氏はこれを従来の携帯電話やCATV事業者の動きにならうもので、Appleに膨大な利益をもたらしていると指摘する。だが一方で、iPhoneのような製品は携帯電話市場の非常に初期の段階にあり、今後PCやインターネットの世界のように、ゲートキーパーの存在しない自由でフリーなプラットフォームや技術が台頭してくることになるという。Flashはこうした時代を生き抜いてきた技術の1つだというのがその理由だ。
また現状のFlashの利用形態として、YouTubeのような動画再生のほか、アニメーション付きWebページなど、いわゆるRIA (Rich Internet Application)としての活用が挙げられる。だがJobs氏は、これらFlashの機能は次世代標準のHTML5で代替が可能であり、やがて誰も使わなくなると主張している。Gay氏は「Flashのインターネット動画シェアは75%」という圧倒的シェアを達成したのはYouTubeでの採用が大きかったことに触れつつ、そのYouTube自身がHTML5へのシフトを進めており、動画技術の代替が可能であることを認めている。また一方で、従来の主力だったアニメーションやRIA全体については引き続きFlashが主力であり続けるだろうという。動画技術については、「私の見解ではH.264はオープンスタンダードとはいえず、FlashでH.264をサポートしたとき年間約500万ドルの特許使用料が発生している」と問題を提起している。これはWebブラウザにおけるHTML5のビデオタグサポート問題に直結する。
Googleが、Androidを用いたよりオープンなアプローチを仕掛けることでAppleにプレッシャーを与え、それが結果としてiPhoneのSafariでのFlashサポートにつながるのでは、というのが同氏の意見だ。同氏自身はiPhoneユーザーであり「素晴らしいデバイス」と賞賛しているが、次の携帯電話はおそらくAndroidベースであり、そちらのほうがGay氏自身のニーズに合ってだろうという。