――武半さんのお話が出ましたが、メインスタッフはどういった参加順になっていますか?

「まずは、シリーズ構成の大和屋(暁)君、キャラクターデザインのコヤマ(シゲト)君と、クリーチャーデザインの武半君の3人が最初ですね。難波(日登志)監督はそのあとです。まず大和屋君に来てもらったのは、スタンの原作をどうテレビシリーズのシナリオに落としこんでいくかという部分ですね。彼はシナリオライターの力量があるし、アイデアもたくさん持っている。逆にオリジナリティが強すぎる脚本家だとアメリカサイドと内容面でぶつかっちゃうかもしれないので、周りとも調整しながらできる人、ということでお願いしました」

――コヤマさんがメインでのキャラクターデザインをするのは初挑戦だと思いますが、その抜擢の理由は?

「コヤマ君には『エウレカセブン』からサブのデザイナーとしてがっつり手伝ってもらっていて、当然彼の描いたイラストも見ていたし、流行に敏感な部分もあって面白いんですよ。あと『HEROMAN』は、日本のキャラクター造形をひとつ越えていけるデザインにしたかったんですけど、逆にアメコミ的になりすぎると、日本人には馴染みがなくなってしまう。だから日本流のデザインで、アメリカにもアピールするものにできるかどうか、という部分が今回のポイントだったんですね。そういう意味でまだ色のついていないコヤマ君にチャレンジしてもらうのがいいんじゃないかと。彼はアメコミも大好きですし。ちなみに、これはコヤマ君の発案なんですけど、当初、主人公の名前は『ジョーイ・ジョーンズ』じゃなかったんですよ。でも彼から『スタン・リー作品の主人公は『スパイダーマン』のピーター・パーカーみたいに、イニシャルの文字が続いている。だから『J.J.』というイニシャルになる名前にしてほしい』というリクエストがあって、『ジョーイ・ジョーンズ』になりました」

――後発で参加した難波監督の持ち味やテイストはどういった部分に反映されていますか?

「やっぱりキャラクターの置きどころや、演出表現の仕方はすばらしいと思います。ジョーイ、サイ、リナ、デントン先生というメインの4人の描き方なんかもすごく優しいし、特にジョーイというキャラクターの立て方はうまいですよね。ただ、アクションの段取りは結構積みがちな人なので、『あれ? 意外と作画が大変だぞ』って(苦笑)。まあ、作画の枚数が増えたのは、監督のせいだけじゃないですけどね。制作期間があったので、少ないスタッフでじっくり作りこんでいったので、話数が進むにつれアクション部分が大変なことになっています」

――アニメファン的には『カウボーイビバップ』などでおなじみの川元利浩さんが、チーフアニメーターとして描くアクションにも期待が膨らみます

「各話の作画監督としてだけでなく、シリーズ全体を見てもらってます。映像すべてのバランスも素晴らしく出来上がっています。期待していてください」

――主人公のジョーイの声には、アニメの声優は初挑戦となる、小松未可子さんが選ばれましたが、キャスティングについてはいかがですか?

「ジョーイの声を男の子が演じるか、女の子が演じるかでも自分はかなり悩みました。一番難しい年代ですからね。実際、オーディションには男性の方にも参加してもらっています。それで、いろいろと聞かせてもらい、話し合った結果、最終的には監督が選んだんですけど、小松さんは面白い声をしてるんですよね。声質は高くて女性の声だけど、どこか男の子っぽい。声優の仕事は初めてでしたが、ものすごくがんばってくれています」

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