天海春香「それが、愛でしょう」

中村「実際にレコーディングに入るとき、『優しさとか柔らかさとか、そういったものを、そう見せないことで表現してほしい』と言われまして……。泣かないで我慢している顔ではなく、ニコッて笑っているだけで、『あ、本当はこの子、泣きたいんだ』って100万倍も伝わるみたいな、逆の方法をとることで春香の"強さ"だったり、"優しさ"だったりが伝わるようにって言われたんですけど、私が曲から受けていた印象というのはそれと真逆だったんですね。少し瞳をうるっとさせながら、少し靄のかかった中で、伏目がちに口ずさんでいるようなイメージだったのですが、それじゃダメなんだということで、すごく試行錯誤しながら録ったものだけに、すごく思い入れの強い曲になっています。実際にできあがったものを聴くと、私は笑顔だったり、明るいものだったりを表現したのですが、それと柔らかい曲調とがあいまって、なぜか切なく聴こえまして……。本当にありがたいディレクションだったなっていう風に思いました」


高槻やよい「じゅもんをあげるよ」

仁後「やよいは、元気をあげたり、頑張れたりっていう感じの曲が多いんですけれど、この歌の場合、落ち込んだりしている学校の同級生に歌ってあげるような感じで、いつもの年上に囲まれている中で甘えたりしているやよいではなく、もうちょっと自分の意思で、励ましたり、元気を与えたりっていう前向きなところがある歌だなって思います。歌詞が全部ひらがななんですけど、こんなにシンプルな言葉だけで元気になれたりする歌って、あまり私はみたことがなかったので、やよいにとてもあっていると思ったし、私もすごくいいなって思いました。最近レコーディングをさせていただく際は、今日はどういう風に歌ったらいいんだろうとか、いろいろ考えたりしているんですけど、悩んでいるところを、ディレクターさんや皆さんがフォローしていただいたり、アドバイスしていただいたりしながらできあがった曲なので、『ゲンキトリッパー』もそうですが、この『じゅもんをあげるよ』も、すごく思い入れが強い曲になっています。なので、いっぱい聴いてほしいなって思ってます」

天海春香&高槻やよい「i(REM@STER-A)」

中村「正直なところ、『またサンバか!』って思ったのですが、別にそれは嫌とかっていうわけでは決してなく、春香が楽しそうに歌っているところがすごくイメージできたので、収録前からすごくワクワクしていました。ただ、どういう風に歌ったらいいのかという指針は、まるでサンバのノリのように、レコーディングの場で決めていきましょうって話になっていたのですが、思った以上に私がサンバにしすぎてしまいまして(笑)。もともとの「i」の、マーチという四分音符のリズムと、このシンコペーションが入っている十六分のリズムが全然あわなくて……。曲にあわせるべきなのか、もともとのマーチのものを大事にするのかで、すごく悩みに悩んで、じゃあ中間でっていうことで(笑)、Aメロはこのままで、Bメロでちょっと遊びだして、サビの半分でちょっとずつ盛り上げちゃおうかって感じでやったのですが、それがその次に収録する仁後さんには、その場で決めているので当たり前ですが、一切伝わっておらず(笑)、『うん、こんな感じになっているからあわせて』みたいな感じで、すごい苦労をかけてしまって申し訳ないなと思いました」
仁後「私は、サンバというジャンルをあまり聴く機会がなかったので、どうやって歌ったらいいのかなって思っていたのですが、繪里ちゃんのできあがりがちょうど流れているのを聴いたとき、あらかじめもらっていたものと全然ちがうものになっていたのでビックリしました。ただ、繪里ちゃんのできあがったものを聴きながら、歌わせていただいたので、すごく歌いやすかったです。最初はサンバの音を聴きなれてなかったので、リズムにノれなかったんですが、『あ、春香がこうなっているから、やよいもそういう風にすればいいんだな』って感じで、スムーズにレコーディングができました。でも掛け声は大変だったかも。あの繪里ちゃんの自由さについていくのはけっこう……。でもすごく楽しかったです。もし私が先に録っていたら、こういう感じにはならず、もっとこじんまりとしたREM@STERバージョンになっていたかもしれないので、繪里ちゃんが録って、私が録るという順番がすごくよかったなって思います」

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