さまざまな噂が駆けめぐるなか、今年もInternational CES 2009がスタートした。開催初日前夜にあたる1月7日夜(現地時間)には、恒例の"プレ"基調講演が開催されている。過去10年以上にわたり、このプレキーノートを飾るのは米Microsoft会長のBill Gatesだったが、昨年の引退宣言を受け、今年は同社CEOのSteve Ballmer氏が登場することになった。
10年以上にもわたってCESの前夜祭を盛り上げてきたBill Gates氏に替わって同ステージに登場したのは米Microsoft CEOのSteve Ballmer氏。妙にハイテンションなスピーチで一部に有名な同氏だが、ここCESでもそのパッションは見られるのか!? |
金融不況に端を発する業績悪化の中で、CESの出展各社は人員削減を含むリストラ戦略に追われており、蘭PhillipsがCESから撤退、その他のメーカーも派遣人員の削減やブース縮小を行うなど、イベントそのものに暗い影を落としている。業界リーダーの1社であるMicrosoftは将来のビジョンを示すことで、こうした不景気に突入しつつある業界を率いていくことができるだろうか?
苦境の先には多くの可能性が待っている
Ballmer氏はまず、昨今の経済情勢についてコメントした。現在IT業界だけでなく、すべての業種や人々が困難に直面しており、この不況がどれだけ長引くのかを知る者はいない。だが同氏は、どんな困難が待ち受けていようと、みなのデジタルライフがより豊かになっていくことに変わりはないと強調する。すでにIT技術によって世界が結ばれ、技術の進化が互いのコミュニケーションをより密にするというトレンドから後退することはあり得ないという。こうした状況下においても絶え間なくイノベーションを追い続ける企業や業界こそが、自身の成長の競争での優位なポジションを築けるというのがBallmer氏の持論だ。
「Microsoftは昨年だけでR&Dに80億ドルの予算を投じており、今後もこれまで以上に投資を続ける計画だ。これが人々の生活を異なるものとし、より競争力を高めるための唯一の手段だからだ」と同氏は述べている。未来にはより多くの可能性が待っており、これを業界を上げて追いかけていこうという業界リーダーからのメッセージだ。