日本ラウンドには日本人選手が4名も参戦

WTCCのレギュラードライバーには日本人選手がいないが、終盤になって日本人選手が連続参戦することが発表された。ハコ車の乗り手である、織戸学、青木孝行、谷口行規、加納政樹の4選手だ。レギュラードライバーの多くが岡山国際サーキットを初走行であることを考えると、日本人選手にもチャンスがあるといえよう。

各選手についてだが、まず織戸学から。ドリフトの名手として数々のイベントでその走りを披露していると同時に、S GT(GT300)でも活躍する人気者だ(今年は現在11位だが、1勝している)。WTCCでは、「コルベット・スティングレー」に代表される、GM(ゼネラル・モーターズ)の1ブランドである「シボレー」のFF小型セダン「ラセッティ」(実際にはGM傘下の韓国・大宇自動車のラインナップの1台で、アメリカ名「オプトラ」)に乗る。4人目のシボレー・ワークスドライバーとして、前戦イタリア・モンツァラウンドから最終戦のマカオまで3戦を走ることとなった。今回のWTCC参戦に対しては、2年前に横浜タイヤ(ADVANブランド)のコントロールタイヤとなった時から願っていたレースなので、夢が叶って非常に喜んでいるという。ツーリングカーで育った日本のドライバーの代表として、世界各国のドライバーたちと真剣勝負をするとコメントした。カーナンバーは80。

織戸学。ドリフトの名手なのでFR好きかと思いきや、FF車も好きという

織戸の乗る「シボレー ラセッティ」。バックミラーのところに日の丸

青木孝行もハコ車の歴史が長い選手。今年は、織戸同様にS GTのGT300クラスに参戦し(第8戦終了時点でランキング4位)、またS耐のSTクラス1にも参戦している(第5戦終了時点でランキング3位)。そのほか、ダートトライアルやラリーなど、オフロード系のモータースポーツにも参戦しており、ドライバーとしての幅の広さが特徴だ。WTCCで乗るのは、「BMW 320si」。ドイツのビカーズ・モータースポーツと日本のエンドレスがコラボレーションしたインディペンデントの「Wiechers-Sport」の一員として参戦する。青木も最後の3ラウンドに連続参戦する。岡山は慣れたコースなので、心配はないとしている。カーナンバーは17。

青木孝行。オンロードもオフロードも走る守備範囲の広いドライバーだ

青木の乗る「BMW 320si」。実は日本では販売されていない車種

谷口行規は、普段は、「ホンダ エキサイティングカップ ワンメイクレース シビックシリーズ」のインターシリーズ(同レースは、東日本、西日本、インターと3シリーズあり、インターはいわゆる全日本)に参戦している選手(第6戦終了時点でランキング6位)。昨年までの「インテグラシリーズ」にも参戦してきており、いわゆる「ホンダ使い」だ。今回は、イタリアのワークス「N. Technology」からの参戦で、モンツァと岡山の2戦、「ホンダ・アコード ユーロR」を走らせる。谷口は、ツーリングカーのスプリントレースを長年やってきて、WTCC参戦は最終目標、夢ともいう。唯一の日本車として、ひとつでも前の順位でフィニッシュできるようがんばるとコメントしている。カーナンバーは72。

谷口行規。「インテグラ」や「シビック」などのホンダワンメイクのレースに参戦中

谷口の「ホンダ・アコード ユーロR」。左ハンドルだ

さらに、直前になって4人目の日本人として参戦が決定したのが加納政樹。チームは、加納が今年参戦しているアジアン・ツーリングカー選手権(ATCC)にも参戦するインディペンデントの「Liqui Moly Team Engstler」。唯一の「BMW 320i」を走らせる。加納は、昨年はS耐のSTクラス3に参戦しており、今年はATCCのディビジョン1に参加し、2勝している。カーナンバーは81。写真は残念ながら手配できなかったため、ご了承いただきたい。→次ページへ