『ゴッド・オブ・ウォー 落日の悲愴曲』のゲームシステム
PS2クオリティがPSPに!
本作はPSP、つまり携帯ゲーム機向けのタイトルということで、ゲームシステム的に簡略化されたところがあるのか……と思いきや、これがまったくない。あのPS2版のGOWシリーズがフルスペックで4.3インチのPSP画面で動いちゃっている……という印象だ。
ゲームは後方カメラの三人称視点タイプのシステムを採用(演出上の視界制限あり)。大筋はゲームフィールドをゴールを目指しながら進んでいき、その障害となる敵モンスターたちを撃退していくという流れだ。スイッチの押し下げ型のパズルが随所にちりばめられており、適度に「行ったり来たり」の徘徊を強いられ、ストーリーが大きく展開するようなステージ中間やゴール間近では中ボスや大ボスも登場。そう、基本的には「デビル メイ クライ」や「バイオハザード」シリーズに代表される、アクションアドベンチャーの文法を採用している……という捉え方で構わない。
じゃあ、なにがGOWらしさなのか、といえば主人公クレイトスの「ええ!? そこまでする~?」という過激なバイオレンスアクション。喩えるならば、スティーブン・セガール映画の黄金期に代表されるような、「もう、ゆるしてあげてぇ」と敵に同情してしまいたくなるような主人公側の圧倒的な強さの描写が、GOWシリーズの魅力なのだ。
そして、トゥームレイダーのララ・クロフトの二挺デザートイーグルよろしく、GOWクレイトスにもトレードマーク的な武器が与えられている。その名は「ブレイズ・オブ・カオス(Blades of Chaos)」……意訳するならば「混沌の刃」とでもいうのだろうか。二組の鎖に繋がれた剣で、その鎖はクレイトスの両腕に食い込むように巻き付けられていて、ムチのようにしならせて敵を連続的に切り刻んだり、あるいは離れた敵に剣先部分をブッ刺して高速にたぐり寄せてコンボを叩き込むことが可能な必殺武器だ。この二刀流の鎖ムチ剣は、神々の僕となった契約の呪いによってクレイトス自身の意志では外せないという設定。その恐ろしい呪いの副作用(?)か、コンボが決まると炎付きの大打撃が発動し、さらには倒した敵の魂を吸い取るという魔術的な能力まで備わっている。吸い取った魂は、クレイトスの実質的な経験値的な役割を果たし、これと引き替えに手持ちの武器をパワーアップしたり、新たな攻撃必殺技を修得可能となっている。
『ゴッド・オブ・ウォー 落日の悲愴曲』の操作系
PS2版とほぼコンパチの操作系
気になるゲームの操作系だが、これは良くも悪くもPS2の操作系をPSP版でも実装している。ゲームシステムをPS2レベルで実装してしまったので、操作系もそうなってしまったという感じなのだろう。
アナログパッドで方向入力、[×]でジャンプ、[□]で通常攻撃、[△]で大攻撃、[○]で投げ技(つかみ技)、[L]トリガで防御、[L]トリガを押しながら[○][□][△]のいずれかで特殊攻撃……という操作系はPS2と完全コンパチ。
PS2版では魔法の発動はPS2ジョイパッドのデジタル方向パッドの[↑][→][↓][←]で魔法タイプを選んで、[L2]トリガで発動だったが、PSPではトリガは左右に1つずつしかないので魔法発動は[R]トリガを押しながら[○][□][△]で直接任意の種類の魔法を発動できるように変更されている。
ここまではいいが、問題はGOWシリーズの戦闘でけっこう重要となる回避アクションのコマンドだ。中ボス、大ボスクラスの攻撃は[L]トリガの通常防御では堪えられないので、これを回避するため、PS2版では右アナログスティックの入力で任意の方向に高速な飛び退き(前転、後転)アクションが行えるようになっていた。しかし、PSPではアナログ入力が左側のアナログパッドでしかできないので、デジタル方向パッドを使うのかな……と思いきや(!)、なんと[L][R]同時押し+左アナログパッドの操作系が採用されていた。[L]と[R]のトリガにはそれぞれ別の操作系が機能するのに、あえてこの複雑なコマンド形態の採用は「さすが洋ゲー」という感じ。これはデジタル方向パッドでよかったんじゃないかと思う。ちなみに、PSP版ではデジタル方向パッドは[↓]が武器変更に割り当てられていて、それ以外の[↑][→][←]は未使用。いや、ほんと、矢沢が「もったいない」といいそうだ。
まぁ、ちょっと操作は難しいが、PS2版のGOWシリーズを嗜んできたプレイヤーは、回避動作の操作系だけ頭を切り換えられれば、過去2作のようにプレイできるはず。逆にPSP版からGOWシリーズの世界に入る人は、この操作系に慣れてしまえばPS2版ではプレイしやすいと感じられて末広がりな風情だ。がんばれ。