PSPのグラフィック性能を最大限に活用するとこうなる!

プレイヤーが挑む第一ステージは、映画『300』でも描かれたペルシャ軍との戦い。雑魚敵は普通の人間兵なので楽勝だが、やっかいなのが、やけっぱちになったペルシャ軍が最終兵器的に連れてきた「バジリスク」と呼ばれる巨大怪獣を放しちゃうところ。バジリスクは、もう、ただ食欲のまま生きている巨大怪獣なので、敵味方関係なく食べるし街を壊しまくってくるのだ。しかも、クレイトスの必殺鎖ムチ剣攻撃も、あまり効果なしという強さ。ゲームが始まるなり、クレイトスはいきなりピンチというシチュエーションに陥るのである。

「死なばもろとも」と悪あがきのペルシャ王はバジリスクを放つ

プレイヤーは雑魚敵のペルシャ兵をたたきのめしながら戦い方を学び、一方でバジリスクを討伐すべく、パズルイベントでバジリスクへの反撃をこなしてゲームを進めていくことになる。

ペルシャ王との戦闘

ペルシャ王の使う召喚魔法「イフリート」。ペルシャ王を倒せば、この魔法はクレイトスのものに!

大型の攻城兵器のような飛び道具でバジリスクを攻撃!

多くのゲームではチュートリアル的な展開になるはずの第一ステージを、いきなり緊迫したシチュエーションとするのは、実のところGOWシリーズのお約束。GOW Iではヒドラ、GOW IIでは巨大銅像がクレイトス(プレイヤー)を苦しめた。ただ、ご安心あれ。シチュエーションがピンチなだけで、難易度はそこそこに抑えられているので、チュートリアルとして比較的易しくプレイできる。そして、このステージ1ボスを倒すと、本来のゲーム本編に突入するという感じ。GOWシリーズにおける最初の大ボスとの対峙、ピンチシチュエーションは、寅さんの夢シーンみたいなものなのだ。

GOW Iのステージ1のボス「ヒドラ」

GOW IIのステージ1のボス「コロッサス」

さて、筆者は難易度HERO(NORMAL)でエンディングまでプレイした。ゲームオーバーは数度あったものの、体力と魔法の回復にそれほど困ることはなく、丁度いいバランスの難易度だったと感じた。アクションゲーム好きならば気分よく最後までプレイできることだろう。

通してプレイして驚かされたのは、あのGOWのハイテンションなアクションがPS2版と比較しても劣化無く詰め込まれていること。他ゲームに非常に大きな影響を与えたとされる「CSアタックシステム(CS:CONTEXT SENSITIVE)」も『ゴッド・オブ・ウォー 落日の悲愴曲」では当然採用されている。「CSアタック」とは、敵にとどめを刺すときに開始される「モグラ叩き」的なボタン早押しミニゲームシステム。[○][×][△][□]のような操作ボタンが画面に表示されるので、これに素早く反応して指示されたプレイ操作を素早く行わなければならない。CSアタックが不成立となると、敵にとどめが刺せないばかりか、場合によっては敵が体力を回復してしまったりするのだ。

サイクロップスに駆け上がってまぶたを引きちぎりながら眼球を串刺し。もはやクレイトスの方がモンスター!?

CSアタック成功時のカメラアングルとクレイトスのアクションは超迫力。このCSアタック時のバイオレンス演出こそがGOWシリーズの醍醐味で、前述したような圧倒的なクレイトスの強さがこれでもかというテンションの高さで描き出されるのだ。

・弱ったサイクロップスには鎖ムチ剣で突き刺しながら駆け上がり、頭部を掴んでまぶたを引きちぎりながら眼球を串刺し!
・弱ったメデューサには鯖折りで背骨を砕き割る!
・弱ったハーピーには背中に足をかけて両翼をむしり取る!

もう、ほんと、敵に同情したくなるほどの、クレイトスのバイオレンスなとどめの一撃。「そういうトドメの刺し方をするのか」と感心してしまう残虐アクションの数々はグロテスクを通り越して笑える残虐エンタテインメントに行き着いてしまっている。

ハーピーの羽根をむしり取って殺す! こちらはCSアタックではなくて掴み技

そして、グラフィックスが凄い。「PSPってこんなにダイナミックな3Dグラフィックス表現ができるんだっけか」……と、思わず唸ってしまうほどの大迫力映像が、4.3インチのPSP画面で普通にリアルタイム描画されてしまっているのだ。前出の第一ステージのボス「バジリスク」も体積比でクレイトスの100倍はあるんじゃないかと思えるほどの巨体だが、これが画面内を縦横無尽に動き回って攻撃してくる。筆者のPSPはテレビ出力機能付きモデル(PSP-2000)なので、PSPのゲーム映像を全画面出力できる特殊機能を持つEIZOのディスプレイ「FlexScan HD2452W」を用いてプレイしてみたが、映像の迫力やプレイ感覚はホント、掛け値なしにPS2版と見まごうレベル。携帯ゲーム機の画面での大迫力を満喫したあとは、ぜひともテレビ出力機能を使った大画面プレイで『ゴッド・オブ・ウォー 落日の悲愴曲』の映像の凄さも体験してもらいたい。

今作最初のボス「バジリスク」はこの大きさ。体積比にして100倍近い巨体

この巨体が縦横無尽に動き回る大迫力

クレイトス・サーガはPS3版『GOD OF WAR III』へと続く

思うに、この『ゴッド・オブ・ウォー 落日の悲愴曲』は、PSP版の3Dアクションゲームではかなり究極に近いデキなんではないかと思う。PSPのグラフィックス性能を最大限に活かし、それでいてゲームプレイの面においても最高のカタルシスが得られる作品が、やっと出てきた……そんな印象を持つ。

ちなみに、アメリカ本国では現在『GOD OF WAR III』がPS3向けに鋭意開発中だ。今年の7月、ロサンゼルスで開催されたE3のSCEプレスカンファレンスでは、その予告編ムービーが公開され、会場から大声援がわき起こった。発売は未定だが、来年2009年のE3では形あるものが出展されることだろう。

動画 - PS3『GOD OF WAR III』
『GOD OF WAR III』はPS3にて開発されている。世界最強のオヤジがPS3に再臨!

PS3版が出るころまでに、なんとしてでも、PSP版の本作、そしてPS2版の2作品をクリアしておきたいものである。

(トライゼット西川善司)

ゲームタイトル ゴッド・オブ・ウォー 落日の悲愴曲
メーカー名 カプコン
対応機種 プレイステーション・ポータブル
ジャンル アクション
発売日 7月10日 (発売中)
価格 5,240円
CEROレーティング D (17才以上対象)
Designed and Developed by Sony Computer Entertainment America Inc.
(C) 2005 Sony Computer Entertainment America Inc. God of War is a trademark of Sony Computer Entertainment America Inc. All rights reserved.
Designed and Developed by Sony Computer Entertainment America Inc.
God of War and The End Begins are trademarks of Sony Computer Entertainment America Inc. (C) Sony Computer Entertainment America Inc. All rights reserved.
(C) 2008 Sony Computer Entertainment America Inc.
God of War is a registered trademark of Sony Computer Entertainment America Inc. Developed by Ready At Dawn Studios, LLC.