韓国インターネット振興院(以下、振興院)は、「2007年 無線インターネット利用実態調査」を発表した。全国の満12~59歳の韓国国民3,000人を対象に、9月1日~30日の間、直接自宅を訪問しての面接調査を行ったものだ。

ここで言う「無線インターネット」とは、「ノートPCやPDAなどの情報端末と、携帯電話網もしくは無線LAN・WiBro(モバイルWiMAXをベースに開発された韓国の無線アクセス技術)のような無線データ通信網を通じて、インターネットサービスを利用すること」(振興院)を指す。特に、W-CDMA/HSDPAおよびWiBroを「広帯域無線インターネット」としてひとくくりにし、その他の無線インターネット規格と区別している。

第三世代携帯電話というくくりにすれば、韓国ではSK TelecomとKTFがCDMA2000 1xEV-DOなどによるサービスを、同じくLG Telecomが2007年9月中旬からCDMA2000 1xEV-DO Rev.Aによるサービスを行っているが、同調査では「携帯電話無線インターネット」として取り扱われており、HSDPAなどの「広帯域無線インターネット」とは別の扱いになっている。

「広帯域無線インターネット」に分類された通信方式は、韓国のIT発展計画である「u-IT839」戦略にも取り入れられているように重要な規格であり、またHSDPAとWiBroに関しては2006年5月から6月にかけてサービスが開始されたばかりである。そのため、今回の調査ではその現状を把握する目的で、これらの新方式があえて分けられているようだ。

意外と少ない無線インターネット利用

調査によると、最近1年以内の無線インターネット利用率は47.7%だ。1年以上利用していないか、まったく利用したことのない人がむしろ多いという結果になっている。最近1年以内で無線インターネットを利用したことのある人の中では、従来の携帯電話による利用がもっとも多く、HSDPAなどの広帯域無線インターネットを利用している人は、わずか2.9%にとどまった。

利用期間別の無線インターネット利用率。まったく利用したことがない人も40%以上と多い

最近1年以内に無線インターネットを利用したことのある人が、どういった形態で無線インターネットを利用しているのかを調べた結果(円の大きさは値と比例しない)。携帯電話が圧倒的に多い

最近1年以内に携帯電話の無線インターネットを利用したことがあるとした人の、週平均の接続回数は1.8回、1度の平均利用時間は5.1分と、接続回数・時間ともに少ないことが分かる。

無線インターネットの週平均利用頻度(左)と1回の接続時の平均利用時間(右)。全体的に、利用頻度も利用時間もそれほど多くないようだ

以上のように、携帯電話・PHSによるインターネットの利用が盛んな日本とは異なり、韓国ユーザーは無線インターネットの利用度が少ないようだ。固定回線によるブロードバンドインフラが整っているうえ、1時間1,000~1,500ウォン(約120~180円)程度で利用できるPC房(韓国版インターネットカフェ)も街のいたるところにあるという環境を考えれば、こうした結果も納得できないでもない。しかし、携帯電話の普及率が7割を超えているという現実に比べると、小さい数字に思われる。

ただし、携帯電話の無線インターネットに対する今後の利用意向は高いようだ。無線インターネットのサービス別利用意向(複数回答)を尋ねたところ、携帯電話で無線インターネットを利用する意向がある、という答えが58.2%でトップとなった。多くの人にもっとも身近な端末であり、ネットワークも全国規模で整備されているほか、便利なサービスも次々発表されている分野だけに、特に従来の携帯電話による利用意向は高い。

無線インターネットサービスの、今後の利用意向(複数回答)。広帯域無線インターネットでは、W-CDMA/HSDPA、つまりおもに携帯電話によるものがWiBroよりも利用意向が高い