夫婦トラブルを扱った作品が配信に強い理由としてもう1つ特徴的なのが、漫画原作の実写化ドラマが多いこと。事実、『あなたがしてくれなくても』の原作漫画は、2018年に電子書籍配信サイト「めちゃコミック」の年間ランキング1位を獲得したほか、ネットレビュー数の多さなどもあり、配信との相性がいい。
同作に限らず夫婦トラブルを扱った物語は、今や漫画業界の定番ジャンル。配信でよく読まれるため、編集者や漫画家たちが積極的に制作し、次々にヒット作を生み出している。配信でよく読まれている漫画を実写ドラマ化したら、配信で視聴されるのは当然と言っていいだろう。各局のドラマプロデューサーたちはそんな漫画の実写化を狙っている。それは漫画の作り手たちも自覚していて、連載しながら「ドラマ化のオファーがくるのではないか」と計算しているところもあるようだ。
一方の『夫婦が壊れるとき』はイギリスのドラマで、韓国でリメイクされてヒットした作品。復讐やベッドシーンなどの刺激的な描写が多く、両国でもネット上の反響が大きかったことが日本での実写化につながった理由の1つだ。特に韓国ドラマはドロドロの夫婦トラブルを扱った作品が多いため、今後も積極的にリメイクされていくだろう。
ドロドロの夫婦トラブルを扱ったドラマと言えば、かつてはフジテレビ系・東海テレビ制作の昼ドラマの独壇場だった。「平日の昼過ぎに主婦が1人でこっそり見る」という人が多かったのだが、昼ドラマがなくなった現在では「配信で昼に1人でこっそり見ている」のではないか。その視聴パターンという意味では、さほど変化はなく、普遍的なテーマなのかもしれない。