では具体的なキャラクターやスキルという2面で見たとき、中居のどんなところが21時台にフィットするのか。

もともと中居はアイドルのSMAPでありながらバラエティとの相性は業界トップクラス。タモリ、ビートたけし、明石家さんま、笑福亭鶴瓶、松本人志ら大物から、劇団ひとり、アンタッチャブル・山崎弘也、陣内智則、オードリー・若林正恭、南海キャンディーズ・山里亮太、千鳥・大悟ら中堅まで芸人との共演が多く、彼らの良さを引き出し、笑いの手数を増やすトーク力が業界内で評価されてきた。

アイドル時代から自虐トークも辞さないMCは女性層だけでなく男性層からの支持も厚く、共演者の年齢やキャリアを問わないため視聴年齢層も幅広い。さらに言えば、庶民的な料理や酒を好み、継続的にチャリティ活動をしていることなど、好感度が高く嫌われる理由が少ないキャラクターが一般層に浸透している。

21時台はゴールデン・プライムタイム(19~23時)の中でも「最も幅広い属性の人々がテレビを見る」と言われるだけに、そんな中居の強みが最大限発揮できる時間帯なのだろう。

一方、同じゴールデンタイムでも19時台や20時台は主婦層やファミリー層の視聴者をベースにした番組制作が求められるため、中居との相性は21時台ほどいいとは言いづらいところがある。実際、19時台と20時台はバラエティでも生活情報、グルメ、クイズなどのジャンルが多く、中居がMCを務める必然性は薄い。

また、中居は20時台と21時台をつなぐ「“21時またぎ”に対応できるMC」という評価もある。長年、業界内では「“21時またぎ”の前後である程度、視聴者層が変わる」とみられてきた。「2時間特番は19~21時と21時~23時の2パターンが多い」こと、「20時50分台にミニ番組が挟まれる」ことからもそれが分かるだろう。

実際、21時をまたぐと、「よりじっくり番組を見る」という視聴者層が増えるため、人物や出来事などを深掘りした構成・演出を採用した番組が多い。民放各局の21時台を担うという事実が「中居はその深掘りに対応できるMC」という評価を物語っている。

差別化の工夫と毎週1時間の徹底

ただ、中居にとって新番組は「21時台という時間帯が同じ」だけではない。

『THE MC3』は『金スマ』『だれかtoなかい』に続いて「週替わりのメインゲストを招いてのトーク」という構成・演出の番組が1つ増えることになり、明確な差別化が求められる。ネット上には「『だれかtoなかい』とどう違うの?」という声も散見されるだけに、中居にとっても制作サイドにとっても腕の見せどころだろう。

中居はどちらの番組でも本音を引き出すインタビュアーとしての力を評価されてきたが、『THE MC3』ではそれに加えて「芸人の東野、ヒロミとともにどれだけボケとツッコミで笑いを生み出せるか」がポイントになるかもしれない。また、「ロケで他番組とは異なる意外な一面を見せられるか」「特に楽しそうな姿をどれだけ見せられるか」なども成否を分けるのではないか。

その上でTBSに求められるのは、少なくともスタートから1年間は視聴率が低迷しても、レギュラー放送を続けていくこと。構成・演出やキャスティングは結果を踏まえつつ変えていけばいいが、「毎週月曜21時に放送すること」が定着に向けての前提条件になる。

ちなみに『だれかtoなかい』は日曜21時台で放送され続けているだけでなく、「安易に2~3時間の特番化をしない」という方針を貫いてきた。つまりフジは「1時間のレギュラー放送」であることをひたすら守り、一定層の視聴習慣を定着させただけに、TBSも同じような編成戦略で臨めるのか興味深い。