20日夜、今春フジテレビに入社した新人アナウンサーが『FNS明石家さんまの推しアナGP』に出演。上垣皓太朗、梶谷直史、高崎春、宮本真綾の計4人が地上波デビューを飾った。振り返ると、昨春も原田葵と東中健が入社2か月半で当時最速のデビューを飾っていたが、番組や出演内容の違いこそあれ、時期が早まっているのは間違いないだろう。
テレビ朝日の新人は、すでに生放送の報道・情報番組で活躍中。入社式前の4月1日、『グッド!モーニング』で三山賀子、『羽鳥慎一モーニングショー』で松岡朱里がデビューを飾った。
また、日本テレビでは3日放送の『1億人の大質問!?笑ってコラえて! 2時間SP』に瀧口麻衣、並木雲楓、水越毅郎が出演。顔見せのみで終わらせず、同番組の企画で3人に1年間密着することが明かされた。
かつて新人アナウンサーの地上波デビューは、秋の改編期、あるいは入社3か月の7月あたりが多かったが、なぜ早まっているのか。テレビ解説者の木村隆志が掘り下げていく。
即戦力に近い人材が豊富になった
もともと新人アナの早期起用は、「若さ頼り」「下手」などの批判を招きやすいリスクのある人事。さらに、各媒体で毎年恒例の「好きなアナウンサーランキング」は、約8割が30代以上の中堅・ベテランが占めるなど、若手にとって世間の追い風が吹いている状態とは言えない。
では、なぜ局を越えて早期起用が続いているのか。その理由は主に5つ考えられる。
1つ目の理由は、番組にフレッシュな風を吹かせられること。毎日放送される報道・情報番組は視聴者にマンネリを感じられやすいだけに、新人の起用はそれだけで視聴者の注目を引きつけ、印象を変えられる。また、初々しい姿を見せるだけでなく、そこから「徐々に成長していく姿を見て愛着を持ってもらいたい」という意図もあるという。かつてはこれが最大の理由だったが、近年は数多くある理由の1つにすぎない。
2つ目の理由は、即戦力に近い人材を採用できるようになったこと。「各局運営のアナウンススクールに通っていた」というだけでなく、学生キャスターやタレントとしての経験を持つ撮影現場に慣れた大学生が増え、早期起用を後押ししている。逆に本気でアナウンサーになりたい大学生は、それを理解した上でアナウンススクールに通い、芸能事務所への所属を目指すことが定番になった。
3つ目の理由は、新人アナの話題性とSNSの更新。特にネットメディアは「新人」というだけで記事化する傾向があり、起用すれば番組への注目度を高められる。また、アナウンサーのSNS更新やYouTube出演が普通のことになり、番組に出なくてもPRの面で戦力としての期待は大きい。