平日午後の放送に関して、もう1つ挙げておきたいのが、NHKと民放各局それぞれ編成の難しさがあること。
まずNHKの平日午後には、国会、大相撲、高校野球などの中継があるだけに、「レギュラーコンテンツとして視聴習慣をつけるのが難しい」という背景がある。その点、朝の『あさイチ』が放送休止や短縮を柔軟に行っていることを見れば、生放送の情報番組がその難しさに対応できるのが分かるだろう。
また、今春の編成からは、民放各局のようなタレントを起用したワイドショーに近い内容では視聴習慣がつきにくく、「NHKのアナウンサーを起用した信頼感や安心感重視のほうが選ばれやすいのではないか」という過去の反省を生かした様子がうかがえる。
一方、民放各局における平日午後の放送はさらに難しい。午前や昼と比べても視聴者の数が減り、年齢層が上がるためスポンサーがつきにくく、予算的にも苦しさが上がる。かといってドラマやバラエティの再放送でも視聴率は獲得できず、ゴールデン・プライム帯の番宣目的としての効果は薄くなってしまった。
だからこそ、『ミヤネ屋』と『ゴゴスマ』は横並びになることは承知の上で生放送の情報番組で勝負しているのだろう。しかし、制作を在阪局の読売テレビと在名局のCBCが担っているところに難しさが表れている。
在阪局や在名局にとって、難しい平日午後という時間帯であっても「全国ネットの帯番組を手がける」ことはブランディング、関係者のモチベーションアップ、制作ノウハウやコネクションの獲得につながるなどの点でメリットは大きい。
在京キー局にとっても、他の時間帯に放送されている自局情報番組とのすみ分け、スタッフ確保の困難回避、系列局との連携強化などのメリットがあり、「数字が獲れそうならやってもらおう」というスタンスが局を超えて広がっている。
ニュース専門チャンネルの印象も
ただ、民放各局の情報番組はこのまま横並びの編成や番組構成を続けているだけでは、「朝から夕方まで同じネタばかり」「どんぐりの背比べ」という印象を深め、あきられていくのではないか。録画視聴のみでなく、動画配信サービスの利用が中高年層にも広がり始めているだけに、「全世代がリアルタイム視聴から離れてしまう」というリスクは間違いなく高まっている。
まずは横並びで扱われている災害、事件、事故、天気、週刊誌報道などは、本当にどれくらいのニーズがあるのか。それが視聴者層を限定することになっていないか。ひいては、平日の午後は生放送の情報番組でなければいけないのか。早朝から夕方まで情報番組だらけで多様性が消えた今、テレビそのものの価値を高めていくために、もう一度考えてみたほうがいいかもしれない。
最後に再びNHK総合に目を向けると、18時からの『ニュース』『首都圏ネットワーク』『NHKニュース7』を合わせると、今春以降13時から19時30分まで計6時間30分の生放送になる。まるでニュース専門チャンネルのような偏った編成に見えてしまう人は少なくないだろう。
今のところ、騒いでいるのは業界内の人々だけで、ネット上には冷めた目線のコメントも目立つだけに、4月以降、臨場感ある生放送で多くの人々を引きつけてほしいところだ。