14日、NHKが4月の番組改編で平日14時台から16時台にも情報番組ゾーンを拡大することを発表した。これにより、13時から18時まで5時間にわたり、「ニュース」を冠した番組が生放送されることになる。
平日午後と言えば、『情報ライブ ミヤネ屋』(読売テレビ・日本テレビ系)、『ゴゴスマ~GOGO!Smile!~』(CBC・TBS系)が放送されている時間帯。さらに、『旬感LIVE とれたてっ!』(カンテレほか)が昨年11月23日、今年2月12日の祝日に首都圏を含む全国放送を行ったという実験的な第3の動きもあったばかりだけに、民放関係者から驚きの声があがっている。
ネット上には「これ以上情報番組はいらない」「ドラマやバラエティの再放送でいい」などの否定的な声も散見される中、なぜ各局は平日午後に生放送の情報番組を編成しようとするのか。テレビ解説者の木村隆志が探っていく。
情報のスピード感と識者のコメント
NHKの発表によると、4月から13時台に放送されていた『列島ニュース』を14時台まで拡大し、15~17時台に新番組『午後LIVE ニュースーン』をスタートさせるという。後者は全国54、世界に29の拠点を持つNHKならではのネットワークを生かした情報番組だけに、民放各局とは異なる構成になるはずだ。
NHK総合では2017年4月に船越英一郎らがMCを務めた生放送の情報番組『ごごナマ』がスタートし、当初は約3時間だったが、その後約2時間、約1時間と短縮され、2021年3月で終了したという過去がある。さらにその前にも、約2時間生放送されていた『スタジオパークからこんにちは』があったが、これらと比べると今春以降はよりニュースや情報を重視していくのだろう。
この変化は特に2010年代後半ごろから、災害、事件、事故などに関する人々の関心が高まっていることが大きい。コロナ禍を経た現在はさらにその傾向が強くなり、事件や事故の現場リポートや直撃取材、会見や法廷などにおける最新情報のスピード感が求られている。とりわけ組織、個人を問わず会見は午後から夕方にかけて行われるケースが多く、そのたびに認知度の高い『ミヤネ屋』と『ゴゴスマ』の優位が際立つ結果となっていた。
また、ネットが幅広い世代に普及したことで、「もはやテレビは速報性だけでは勝負できなくなった」ことも生放送の情報番組が求められる理由の1つ。ネット記事と同じようなストレートニュース中心の番組ではなく、「識者を筆頭に多様な出演者を交えて、一歩掘り下げた情報番組として放送する」ことがテレビには求められている。
その点、NHKの5時間生放送は、全国各地で起きたあらゆる事態に緊急対応できる編成であり、有事の際は「とりあえずNHK総合を見てみよう」と思わせる信頼とスケールがありそうだ。一方、ネットワークの範囲と、人材や制作費を含めた取材力でNHKに劣る民放各局は、これまでよりも難しい対応を余儀なくされるかもしれない。
最近は、大谷翔平、週刊誌報道、天気などの「ほぼ横並びの情報をどう見せて差別化するか」という勝負だったが、視聴率やスポンサーに左右されず時事、生活情報、各地からの中継、さらに音楽、料理、アーカイブなどを自由に構成できるNHKの参戦で、視聴者層の動きが生まれるのではないか。