このところ長期ブランクのあった番組が「○年ぶりに復活」というニュースがしばしば見られる。
まず、1988年から1994年までレギュラー放送され、その後1996年、2006年、2007年に特番として放送された『クイズ!年の差なんて』(フジテレビ)が16年ぶりに復活。今月10日に『坂上どうぶつ王国プレゼンツ! クイズ年の差だよねSP』のタイトルで放送される。
さらに、2000年から2005年までレギュラー放送された『プロジェクトX 挑戦者たち』(NHK総合)が18年ぶりに復活。2024年4月から「失われた時代の挑戦」をテーマに新シリーズが放送されることが発表された。
その他でも、『オールナイトフジ』の誕生からちょうど40年後の今春、『オールナイトフジコ』(フジ)がスタート。また、『痛快なりゆき番組 風雲!たけし城』(TBS)が34年ぶりに復活し、Amazon Prime Videoで配信が開始された。5月に入っても、『あいのり』(フジ)の大人版となる『あいの里』がNetflixで配信され、シーズン2の制作も決まっている。
近年を振り返っても、『なぎスケ』(Amazon Prime Video、元の番組はテレビ朝日『「ぷっ」すま』)、『未来日記』(Netflix、元の番組はTBS『ウンナンのホントコ!』)、『電波少年W~あなたのテレビの記憶を集めた~い!』(WOWOW、元の番組は日本テレビ『電波少年』)などがブランクを経て復活していた。
なぜ、ブランクのあるこれらの番組が次々に復活を遂げているのか。「単なる懐古主義ではない」、その背景をテレビ解説者の木村隆志が掘り下げていく。
■ファミリー視聴前提で作られた番組
復活の背景として真っ先に挙げておきたいのは、業界内で昭和や平成初期の番組が再評価されていること。前述した番組の中では、『クイズ!年の差なんて』『風雲!たけし城』『ウンナンのホントコ!』『電波少年』がそれに該当する。
これらの番組が復活する際は「一世を風靡した伝説の番組」などと自画自賛されがちだが、だからと言って懐古主義とは言い切れない。共通点は、「テレビが現在よりもファミリーで見られていた頃に人気を博した番組」であること。現在、民放各局はスポンサー受けのいいコア層(主に13~49歳)を中心にした番組制作を進め、中でもファミリー層はメインターゲットとなっている。
振り返ると、昭和から平成初期は、家族が一緒に見て楽しめることが前提の番組が多くを占めていた。事実、ジェネレーションギャップの面白さを子、父母、祖父母の3世代がクイズで楽しめる『クイズ!年の差なんて』や、家族そろって出演する参加者も多かった『風雲!たけし城』は、その最たるところだ。
また、現在フジで新ドラマの番宣特番として放送されている『クイズ!ドレミファドン』も、同じ理由から重宝されている。つまり、ターゲット層が同じで、時代を問わない内容であれば、放送時期の古さやブランクの長さは問題ないのだろう。
特にクイズやゲームに関しては、昭和から平成初期の企画を採用しているケースがしばしば見られる。たとえば『ラヴィット!』(TBS)には毎日のようにゲームコーナーがあるが、現在の若者に流行っているものだけでなく、『マジカル頭脳パワー!!』(日テレ)の「マジカルバナナ」などの古いものを採用するケースが少なくない。