ネット上の声を見る限り、「新鮮な感じがして良いですね!」「MCが立ち位置確認されて笑える」「石井アナらしくてこれからも楽しみ」などのポジティブな声と、「新しいMC知らない」「草野さんのほうがいいな」「今日のところは石井さん、あんまり必要ない感じだったな…」などのネガティブな声がほぼ五分五分といったところか。
ちなみに、1年前の『新婚さんいらっしゃい!』も五分五分に近かった印象が残っている。ただ現在はすでに前MCの名前を挙げて不満を漏らすような声は見られなくなった。これは「もちろん番組の顔であるMCは重要だが、それは一部に過ぎない」ということではないか。実際、現在ネット上で見られる不満の声は、MC以上に重要な内容に関することが多くを占めている。
同じ長寿番組でも、MCの芸風やアイデンティティがベースの番組は事情が異なる。例えば、今春で40年半の歴史に幕を閉じた『タモリ倶楽部』(テレ朝系)はMCを交代しての続行は考えづらい。放送中の番組を見ても、『踊る!さんま御殿!!』(日本テレビ系)あたりは同様にMCの替えは効かないだろう。MCの芸風やアイデンティティをベースに作られた番組は、冠番組であるかどうかにかかわらず、本人と視聴者両方からの理解を得ることは極めて難しい。
その意味で、『世界ふしぎ発見!』の石井に対する厳しい声も近いうちに消えていくのではないか。実際、ツイートの大半は「古代マヤ」に関するものであり、MC交代に言及する声は想像より少なかった。つまり『世界ふしぎ発見!』は、人より内容に興味を持たれている番組であり、それを邪魔しないMCとしてキャラクターも主張も控えめな石井なら批判を受けづらそうだ。
ネット上には「2人もいらない」という声もあるが、草野が残留して石井とのダブル体制を敷いたのも、急激な変化による批判を避けるための安全策ではないか。早ければ1年、遅くとも数年の間にゆるやかな交代を……という現場の意向が透けて見える。『世界ふしぎ発見!』に限らず高齢MCの番組が抱える「健康状態の悪化による突然の交代」というハイリスクを避けたいという理由もあるのかもしれない。
■「ヒトシ君人形とボッシュートは?」の声続出
もう1つ、今回のMC交代で明らかになったのは、今年1月の大幅なリニューアルが知られていなかったこと。放送中からTwitterには、「リニューアルして迷走」「進行が超つまらん形になってた」「ひとしくん人形やボッシュートはどうなった?」「いつの間にかクイズ番組じゃなくなってたんだね」などの声が続出していた。
これは、クイズ形式が長年行われていた個人戦から、グループトークで解答を決める団体戦に変わっていたことを知らない人々からの声。トークによる合議制を採用したことで、「ヒトシ君人形」や「ボッシュート」などの名物演出がなくなったことを嘆いているのだろう。
「争うのではなく話し合いで決める」という形式はいかにも現代的だが、賛否があがるのは長寿番組だからこそでもある。ともあれ、今年1月に行われていたリニューアルにようやく気づいてもらえたのだから、この点でも「MC交代の意味はあった」と言えそうだ。
最後に、放送前後のツイートをずっと見ていて最も印象的だったのは、「息子が、『世界ふしぎ発見!』を見るようになった。成長を感じるなあ…」という声。これぞ長寿番組の魅力であり、同番組が「MC交代してでも続ける価値のあるコンテンツであること」を証明している。テレビ局としても、スポンサーとしても、「ファミリー視聴を期待できる貴重な番組として続けていきたい」と考えるのは当然なのかもしれない。