15日、草野仁から石井亮次へMC交代後初となる『世界ふしぎ発見!』(TBS系、毎週土曜21:00~)が放送された。1986年4月のスタートから38年目を数える長寿番組だけに放送前から多くのメディアが報じていたほか、放送中も番組名などがTwitterのトレンドランキング入り。賛否さまざまな声が飛び交っていた。
1年前に桂文枝と山瀬まみから藤井隆と井上咲楽に交代した放送53年目の『新婚さんいらっしゃい!』(ABCテレビ・テレビ朝日系)も含め、長寿番組のMC交代の意味をテレビ解説者の木村隆志が掘り下げていく。
■良くも悪くも「新風」を吹かせる
15日の番組冒頭、新MCの石井は、「TBS土曜夜9時のテレビの前のみなさま、はじめまして。司会進行役としてこの『世界ふしぎ発見!』に新たに加わらせていただきます、アナウンサーの石井亮次と申します。どうぞよろしくお願いいたします」と丁寧なあいさつでスタート。大久保佳代子から「硬いぞ!」とイジりの声が飛ぶ中、すぐに「レジェンド!」と声をかけて「QUIZ MASTER」となった前MCの草野を紹介した。
草野は「38年目に入ります。石井さんに新たに加わっていただいて、新しい風、新風を吹き込んでいただきたい。どうぞよろしくお願いいたします」とコメント。草野の姿とコメントを聞いて、「番組の雰囲気が大きく変わってなくて安心した」という視聴者が多かったのではないか。
石井はもう1人の重鎮である黒柳徹子にあいさつしたあと、「では装いも新たに、今夜もみなさんを不思議の世界にお連れいたしましょう。『世界ふしぎ発見!』」とタイトルコール。すると、黒柳を中心に「わあ~」と歓声が上がり、拍手が巻き起こった。この見慣れない光景こそが草野の言う「新風」であり、長寿番組がMCを交代する理由の1つなのだろう。
長年放送していればどんな番組でも「コアなファン以外はマンネリを感じられてしまう」「MCの年齢が上がり新規の視聴者層が増えづらい」などの課題が発生するのは必然。時代のムードや視聴者の嗜好が変わる中、番組もそれに合わせてリニューアルしていかなければ生き残り続けるのは難しい。
マンネリ対策する上で最も明快なのが、長年「番組の顔」を務めてきたMCの交代。その点、79歳の草野仁から46歳の石井亮次という33歳もの若返りは、誰が見ても「新風」を感じやすいものだろう。
面白かったのは、石井が最初から最後まで出演者たちから「緊張で顔が白い」「ハンサム」などとイジられっぱなしだったこと。また、石井が進行に不慣れなところを見せ、クイズのヒントを草野が振っていたことから、大久保佳代子から「石井さん、どういう立ち位置?」というツッコミを入れられるシーンもあった。
石井のイジられキャラも、石井と草野の立ち位置が整理されていない様子も、MC交代による産物であり、これまでの番組にはなかったものだ。賛否はあっても新しいのは間違いない。