• 友近

    『マツコ会議』最終回にゲスト出演した友近

前述の番組たちと全く別次元の最終回を選んだのが『マツコ会議』。放送前にマツコ・デラックスが「ひどい回になります」と予言した通り、あえてバカバカしさを極めるような形を選択した。これまで8年間で1,800人以上と中継を結んでトークを交わしてきたにもかかわらず、最終回は「友近のキャラクターコントを見せ続けたあげく、最後はチュートリアル・徳井義実の歌で締めくくる」という番組の歴史や実績無視のシュールなフィナーレだった。

ラストカットが笑いを誘うマツコの「ホントにこれで最後でいいのかな?」というツッコミだったところに、「湿っぽい終わり方はやめよう」という意図がうかがえる。「寂しい印象を与えたくない」「最後は笑わせて終わりたい」からこそ、特別なことはしないし、出演者が思いを語る演出もなし。

今年3月、40年の放送を締めくくる最終回で「タモリ流レシピを訂正しよう」という脱力した企画を選んだ『タモリ倶楽部』(テレビ朝日)と同タイプの終わり方と言っていいだろう。“バラエティの最終回”と言えば思い出すのが、そのタモリがMCを務め、2014年3月31日に放送された『笑っていいとも!グランドフィナーレ感謝の超特大号』(フジ)だ。

■中居正広の名言がよみがえる

そこで、中居正広の「バラエティって非常に残酷なものだと思います。歌はライブで最終回があって、ドラマや映画もクランクアップがあって、『ゴールに向かって糧にして進んでいるんじゃないかな』って思います。でもバラエティは、終わらないことを目指して進むジャンルなんだなと。覚悟を持たなければいけないジャンルだと思います」「他のジャンルは評判が良かろうが悪かろうが終わりがあるんですけど、バラエティってゴールがないところで終わらなければならないので、『こんなに残酷なことがあるのかな』って思います」という言葉が視聴者の共感を誘った。

そんな「残酷な結末」という印象をできるだけ感じさせないために、今後は『マツコ会議』や『タモリ倶楽部』のような最終回のパターンが増えていくのかもしれない。

また、その「残酷な結末」をできるだけ避けるためか、テレビ朝日は放送枠の移動を積極的に行っている。今秋だけで、『朝メシまで。』、『出川一茂ホラン☆フシギの会』、『楽しく学ぶ!世界動画ニュース』、『家事ヤロウ!!!』、『有吉クイズ』、『ニンチド調査ショー』(『ザ・ニンチドショー』に改題)、『隣のブラボー様』(『1泊家族』に改題)の放送枠を移動してテコ入れが図られた。

特筆すべきは『有吉クイズ』を除く全番組を移動先で、9月の早い段階からスタートさせたこと。「移動は不振を覆すためのテコ入れ」というネガティブな印象を薄めるためか、それとも「枠移動するなら少しでも早いほうがいい」という考えからか。「改編期を待たず早めに移動させる」という戦略が見られた。

最後に話を終了したバラエティに戻すと、今秋は「歴史を振り返り、豪華ロケを行う王道の最終回」「特別なことをしないひっそりとした最終回」「番組の歴史や功績を無視したシュールな最終回」という3パターンに分かれた。今後しばらくの間に終了する番組も、番組の歴史と人気、出演者とスタッフの意向などに合わせてこの3パターンから選ばれていくのではないか。