9月で『マツコ会議』『ゼロイチ』(日本テレビ)、『キスマイ超BUSAIKU!?』『TOKIOカケル』『VS魂 グラデーション』『林修のニッポンドリル』『潜在能力テスト』(フジテレビ)などが終了した。

その多くは長年放送され、視聴者に親しまれたバラエティだったが、それぞれどんな“最終回”として放送されたのか。テレビ解説者の木村隆志が今秋で見られた3つのパターンを掘り下げていく。

  • 『マツコ会議』マツコ・デラックス(左)と『ゼロイチ』指原莉乃

    『マツコ会議』マツコ・デラックス(左)と『ゼロイチ』指原莉乃

■らしい特別感か、ひっそり幕引きか

まず、各番組の最終回を簡単に振り返っていこう。

「これぞ最終回」という王道の形を見せたのが、『TOKIOカケル』と『VS魂 グラデーション』の2番組。

『TOKIOカケル』は、「思い出振り返ろうSP! 木村拓哉・広瀬すず…超豪華名場面!」などと題して、これまでを振り返る映像メインの構成で放送。さらに、生田斗真と松下奈緒を招いてトークを交わしたほか、最後にTOKIOの3人が「お互いのどこが好き?」「ケンカはするの?」「解散を考えたことは?」という際どい質問に本音で答えるなど、最終回らしい特別感を醸し出して終了した。

『VS魂 グラデーション』は、2時間特番で「VS魂ファイナル みんなで思い出作ろうSP」と題して、それぞれのメンバーが希望する贅沢なロケを実行。最後に相葉雅紀が「VS嵐の時代から考えると15年ぐらいお世話になりました。本当にどうもありがとうございました」などと感謝を述べた。

どちらもコアなファン層に支えられた番組だけに、「見続けてくれた人が最後に何をしたら喜んでくれるのか」を考えて選んだフィナーレに見える。同時にそれは「最後まであきらめずに全力で視聴率を獲りに行こう」という姿勢なのかもしれない。

  • 『林修のニッポンドリル』林修(左)と『潜在能力テスト』オードリー・若林正恭

    『林修のニッポンドリル』林修(左)と『潜在能力テスト』オードリー・若林正恭

一方、『林修のニッポンドリル』『潜在能力テスト』『キスマイ超BUSAIKU!?』は、ネット上に「普通に終わってしまった」「最終回っぽくない終わり方」などの声があがる終わり方だった。

『林修のニッポンドリル』は、2時間SPではあるものの、その内容は「学者と巡る山手線」という、ほぼ通常通りの放送。ラストも「5年半ありがとうございました」というテロップでシンプルに締めくくった。

『潜在能力テスト』も同様に2時間SPで、ほぼ通常通りの放送。最後であることはスタジオでふれず、MCのあいさつすらないままひっそりと終了させた。

『キスマイ超BUSAIKU!?』は、「キスマイライフ人生を変える金言」を前・後編の2週にわたって放送。メンバーが各地でインタビューを行い、VTRをスタジオで見るという落ち着いた構成で、最後も「ありがとうございました」のひと言のみで終了した。

名場面の総集編や豪華ロケなどの特別な企画は行わず、出演者が思いを述べて感動を誘うような演出もなし。終了する理由の中に視聴率やスポンサー獲得などの難しさがあるのか、「できるだけ出演者やスタッフにネガティブな印象を残さないようにひっそり終わらせよう」というニュアンスがうかがえる。

『ゼロイチ』も、ほぼ通常放送を選ぶなど、同様のひっそり路線だったが、生放送番組だけに出演者のあいさつなしでひっそり終えるのは不可能。ラスト3分で出演者が順番に思いを語り、最後に指原莉乃が「寂しいかなと思ったんですけど、いつも通りで楽しく終われて本当によかったです。そして何より、視聴者のみなさんに本当に感謝の気持ちでいっぱいです」などと語って締めくくった。