その他、深夜帯の野心的な企画も含め、バラエティ活性化の動きは、昨年6月に就任した港浩一社長の影響と言っていいだろう。思い返すと港社長は初の定例会見で、「“明るく楽しく元気な会社”というDNAを蘇らせたい」「『楽しくなければテレビじゃない』という本質は競合メディアが増えた今も変わっていない」などと宣言していた。
港社長自身、これまで何度も『FNS27時間テレビ』を手がけてきただけに、誰よりもそのメリットを知っている。視聴者を楽しませるのはもちろんのこと、局員の士気を高め、長時間生放送のノウハウを受け継ぎ、各部署や系列局との連携強化などが可能。
また、テーマ名に「楽しくなければテレビじゃない」がたびたび使われてきた同局を象徴する特番であり、その復活が内外に向けた「笑いで勝負していく」「フジ再生」のメッセージにもなりうる。さらに、コロナ禍を経た開放感も、「今年はイケるのでは」という期待感につながっているのかもしれない。
今年の『FNS27時間テレビ』が成功に終わったら、来年の放送はもちろんのこと、それ以外でも2~8時間程度の生放送バラエティを増やしていくのではないか。そんな流れが加速するほど局内は「この企画は通るのか。クレームのリスクはないか」よりも、「面白い企画を考えよう」というムードになり、視聴者の支持を得やすくなっていくだろう。
ひいては、コア層の個人視聴率でトップを独走しながら、ネット上の反響や配信再生などに不安を残す日本テレビを筆頭に、他局も追随する可能性が十分ありそうだ。