このところ、「学校をフィーチャーした企画に活路を見い出したのか」と思わせるバラエティが目立ち始めている。その中心となっているのが『新しいカギ』(フジテレビ系、毎週土曜20:00~)。「学校かくれんぼ」「先生と漫才GP」「高校バスケ全国制覇の道」が三大企画となっているほか、「高校生クイズ何問目」「一芸に秀でた学生」なども継続募集している。

今春ゴールデンタイムでレギュラー化された『それSnow Manにやらせて下さい』(TBS系、毎週金曜20:00~)も、高校日本一のダンス部との対決や、スポーツ界の超名門・青森山田高校の実態調査などを放送。さらに、さまざまな10代を掘り下げる『超無敵クラス』(日本テレビ、毎週日曜12:45~)や、このところ放送頻度が上がりアカペラ人気を再燃させた『ハモネプ』(フジ系)などもある。

なぜ、学校にフィーチャーした企画が増えているのか。テレビ解説者の木村隆志が掘り下げていく。

  • 松尾駿(左)と岡部大=『新しいカギ』6月17日放送「高校バスケ全国制覇の道」より (C)フジテレビ

    松尾駿(左)と岡部大=『新しいカギ』6月17日放送「高校バスケ全国制覇の道」より (C)フジテレビ

■ターニングポイントは昨年11月

少子化が止まらない上に、「テレビよりネットがメイン」という学生が増えた今なお、民放各局は彼らを視聴者層に加えることをあきらめていない。現在、民放各局の主要ターゲット層は多少のバラつきこそあるが、コア層(13~49歳)がベースで、特にティーンの個人視聴率が高い番組は希少価値が高く、スポンサーの受けもいい。

学校をフィーチャーしたバラエティのメイン視聴者層は、学校の当事者となる10代・20代だけでなく、子を持つ親世代の30代・40代まで幅広い。コア層全体をカバーできるほか、親子でのリアルタイム視聴も期待できるなどいいことずくめだ。

しかし、学校をフィーチャーしたバラエティは、2008年秋に『学校へ行こう!MAX』(TBS系)がレギュラー放送を終えてからこれと言った後継番組がなく、2015年に復活した特番も2021年で終了。この間、フジは2019年10月~2020年3月に『BACK TO SCHOOL!』という学校をフィーチャーしたバラエティを放送したが、わずか半年間で終了するなど、「視聴率が獲れないジャンル」とみなされがちだった。

また、一般人の扱いはタレント以上に難しく、とりわけ学生は本人だけでなく、家族や先生などのフォローも必要。予算や労力、放送日までの情報漏洩なども含めてさまざまなリスクがあり、敬遠されがちになっていた。

ところが、2020年春に視聴率調査がリニューアルされたことで民放各局の制作スタンスは一変。前述したコア層に向けた番組制作に舵を切り、若年層を狙ったバラエティやドラマが増えていく。

ただ、それでも「学校をフィーチャーしたバラエティはまだゴールデンでは難しいだろう」という見方が根強く残っていた。このムードを変えたのが、昨年11月に放送された“令和の『学校へ行こう!』”を思わせる特番『学校中を笑わせよう』(TBS系)と、『新しいカギ』の「学校かくれんぼ」第1弾。両番組が立て続けに放送されたことで風向きが変わり、ともにネット上の反響がよかったことから以降の半年間あまりでジワジワと増えている。