民泊に対する正しい知識が不足していると、裁判沙汰に発展しかねない

民泊に対する正しい知識が不足していると、裁判沙汰に発展しかねない

インバウンド需要の拡大に対応する新たな宿泊手段として注目を集める「民泊」。しかし、これまでに特に民泊の「投資」を巡り、さまざまなトラブルが発生してきました。今回は、民泊の具体的なトラブル例と今後のトラブルを回避するための対策を解説します。

民泊を巡るトラブル事例その1

民泊副業・兼業が勤務先にバレて懲戒処分

民泊は「旅館業」に該当する立派な事業。もし、あなたが公務員や会社員の場合には、民泊を営むことが、法令や勤務先の就業規則などに抵触する可能性があります。

実際、民泊副業が勤務先に発覚し、懲戒処分となった事例はいくつもあります。2016年9月には、埼玉県の公立高校の教諭が、無断での民泊営業が副業を禁じる地方公務員法に違反するとして減給処分を受けました。2017年8月には、名古屋市に勤めるバス運転手が、同じく地方公務員法違反として減給処分を受けた事例が存在します。

■トラブル回避の対応策

厳しい法令の制限がある公務員とは対照的に、民間企業においては、2018年1月に「副業・兼業の促進に関するガイドライン」と兼業・副業を原則として認める「モデル就業規則」が公表されました。今後は、就業規則で副業・兼業が認められるケースが増えていくと予想されます。民泊を副業・兼業として検討されているビジネスパーソンの方々は、勤務先の就業規則を確認のうえ、必要な承諾を受けて民泊営業を営むようにしましょう。

民泊を巡るトラブル事例その2

無断民泊を管理組合に知られ、損害賠償訴訟に

法律に違反する無許可の民泊営業は、マンション住民間の自治ルールを定める管理規約においても、当然に禁止される行為。マンションにおいて無断で営んだとして、マンション管理組合が民泊営業の差し止めや損害賠償請求を起こす事例が近頃は増加しています。

2017年1月には、大阪市のマンションの一室で民泊が無断営業されていたとして、実際に判決まで至りました。裁判の結果、大阪地裁は管理組合の理事長からの請求どおり、部屋の元所有者の男性に50万円の損害賠償を命じています。

■トラブル回避の対応策

マンションにおける民泊トラブル増加などを受け、2017年8月に標準管理規約が改正され、「民泊禁止条項」などの文例が示されました。分譲マンションにおける民泊を検討される場合には、管理規約や管理組合の決議で民泊が禁止されていないことを確認するようにしましょう。