好調なインバウンド需要の拡大を受け、2017年の訪日外国人旅行者数は2,869万人を突破しました。2012年には836万人だった外国人旅行者数は、この5年間で3倍以上に増加しています。
外国人旅行者数の増加に対応する新たな宿泊手段として注目を集めてきたのが、住宅を活用した宿泊サービスである「民泊」。読者の皆様の周りにも、投資目的で民泊運営をしたことがある方や、旅行で自ら民泊を利用したことがある方がいらっしゃるかもしれません。
しかし、ご自身が投資家として民泊運用をする、または旅行者として民泊を利用する前に知っておいてほしいことがあります。なぜなら、民泊を巡っては「旅館業法」や「旅行業法」といった法規制の問題があり、十分な理解なく投資や利用をしてしまうと、思わぬトラブルに巻き込まれるケースがあるからです。本稿では、民泊への「投資」や「利用」を始める前に知っておくべき基礎知識を解説します。
マンションを活用した民泊運営の注意点
(1)無許可の民泊運営は法律違法!
我が国の旅館やホテルの営業者を規制する「旅館業法」は、同法の許可なく、有償の宿泊サービスを継続反復して提供することを禁止しています。この事実を知らずに、民泊仲介サイトに物件を掲載して有償の宿泊サービスの提供を繰り返す民泊運営を無許可で営んでしまうと、懲役または罰金といった刑罰の対象になるので注意しましょう。
(2)無断の民泊運営は契約違反!
民泊を禁止する分譲マンションにおいて管理組合に無断で民泊運営をすることは、管理規約に抵触する契約違反行為となります。また、賃借物件において賃貸人(オーナー)に無断で民泊運営をすることも、賃貸借契約に抵触する契約違反行為となります。これらの事実を知らずに無断で民泊運営をしてしまうと、契約違反を理由に、管理組合やオーナーから、損害賠償請求などを受ける可能性があります。
(3)無申告・無納税は脱税行為!
合法的な事業としての民泊運営はもちろん、たとえ無許可の民泊運営であっても、民泊運営から得られた所得はきちんと確定申告して、税金を納めなければなりません。この事実を知らずに、「無許可だから納税義務がない」と思って無申告・無納税としてしまうと、脱税行為として追徴課税や刑罰の対象になりますので注意が必要です。