――オープニング曲にCreepy Nutsさんを起用したり、「にらめっこ」の出囃子を新作のハーモニカさんがオリジナルのラップで担当したりするのも含め、音楽面のこだわりは結構あるのでしょうか?
それよく言われるんですけど、音楽は全然疎いんですよ(笑)、全く詳しくないです。ただ、この曲が好きっていう好みは明確にあって、番組で流す音楽は音効さんと話しながらこだわって選んでます。音楽の重要性を知ったのは『シルシルミシル』でADをやっていたときなんですけど、当時毎週本編編集の担当ADで寝られない日が続くという時期がありまして。そのときMAっていう、番組に音楽をつける作業があって、当然先輩たちが作業するので僕は見ているだけだったんですけど、音楽がつくと目の前で番組がより面白くなっていく。それをスゲーと思いながら見てました。そのときに、番組につける音楽ってこんなに重要なんだなと感じたのを覚えてます。
それから、自分の番組の音楽はこだわろうと。ちょうど『かまいガチ』が始まると同時期ぐらいに『Mステ』の仕事も少しやらせてもらうことになったんです。会議に出てると「今こんなの流行ってるらしいよ」と新しい音楽の話が入ってくるので、それはこっそり取り入れたりしてます。
――昨年末の『ミュージックステーション ウルトラ SUPER LIVE 2020』の放送直後生配信でかまいたちがMCを担当したのは、そのつながりだったんですね。
はい、その合間に『かまいガチ』の収録で競馬予想してました(笑)。そこにあいみょんさんも出てくれて、面白かったですね。
――「お悩み相談室」で使ってる勢いよく扉が開閉するセットがすごく効果的だなと思います。「にらめっこ」でも大きなセットで使っていましたよね。
最初に特番をやるとき、コロナ禍で収録が制限され始めた頃で、トークをやりたかったんですけど演者さんの間にアクリル板を入れる必要があったんです。今は普通に使われてますし必要なものなんですが、あの頃は自分の中ですごく違和感があって。でも、トークは熱い内容にしたかったんで、どうしても向かい合ってしゃべって欲しかった。そうなるとどうしても真ん中にアクリル板が必要で…。じゃあ真ん中にアクリル板を入れて話せる構造って何だろうと考えた結果、あの形だったんです。そもそも扉が閉まる構造なら違和感ないでしょうと。あとはかまいたちさんが勝手に遊んでくれるんじゃないかと思って。
――本当にいいタイミングで閉めますよね(笑)
かまいたちさんに合ってましたね。扉が閉まるとかっていう方式は「いいの思いついたね」と言われることもあるんですけど、テレビ界に昔からある手法だと思うんで、全然発明ではないです。
――でも、開閉の動きがあそこまでスピーディーなのは見たことがないです。
スピードをめちゃくちゃ速くすることだけはこだわりました。裏でスタッフが綱を引くと動く仕組みになってるんですけど、よく壊れてます(笑)。速く動かしすぎて、本番中に外れちゃったりしました。
――ほかに『かまいガチ』でこだわっていることはありますか?
バラエティ番組を作ってるんだから、まずは番組のスタッフが楽しい気持ちでやれるようにしないと、とは思ってます。「これは本当にスタッフが楽しんでやってるな」とか、「かまいたちに愛があってやってるんだな」って、テレビ画面を通して観たときに、何となく分かるような気がするんです。ADさんは雑務に追われて、面白い作業もディレクターがやってたりするんですけど、せっかく『かまいガチ』に携わっているので、ADさんも含めみんな楽しんでやってほしいなと思って。だから、会議も笑うことが多いです。他のスタッフもそういう気持ちでいる人が多いと思います。
■謎の肩書き「ハイパーデザイナー」の真相は…
――24時台に上がって、変化した部分はありますか?
逆に、内容は変えないようにするというのを意識しました。変わったことは、バースデー企画の飾り付けはADさんやプロデューサーたちが手作りでやってたんですけど、やっぱり26時台はお金が制限されていたので、それがちょっと派手になったくらいです(笑)
――26時台だと、やはり評価指標はTVerが大きかったのですか?
そうですね、毎日朝に再生数が出るので一番分かりやすいですし、モチベーションになってました。
――そこの意識は、24時台になってどうなりましたか?
放送地区がだいぶ広がったので、単純にテレビで観てくださる人が多くなるのかなと思います。『アメトーーク!』の受けなので、めちゃくちゃありがたい位置にいると思います。ただ、見逃し配信で観てくださる方も引き続きいるので、そこは大事にしていきたいですね。
――26時台のとき、エンドロールで近藤さんの肩書きに「ハイパーデザイナー」というのがあったと思うのですが、あれは何だったのですか(笑)?
そんなとこよく見てますね、改めて言われるとめちゃつまらないですね(笑)、ただの悪ふざけです(笑)。26時台のときは趣味で、番組内で使う背景とかSNS用の写真とかTVerのサムネイルとかを自分でパソコンで作ってたんですよ。それでエンドロールのデザインも僕が作ってたんですけど、そのときに肩書きをどうしようかなと思って。他の番組では「演出」ってしてるのもあるんですが、『かまいガチ』のような演者さん主体で笑いを作ってるバラエティ番組で自分が「演出」っていうのが、なんかしっくりこないというか、おこがましいというか、そんな感じがして。
で、「チーフディレクター」にしたんですけど、それだけだとつまらなかったので、編集所でスタッフをクスッとさせるために入れました(笑)。あとは誰か笑ってくれたらいいなぐらいだったんですけど、全然気づかれなくて、そのまま入れ続けて、結局言ってくれたのは2人くらいですね(笑)
――24時台に上がってから入れなくなったのは…
人目に触れる機会が多くなったので、やめました(笑)