――『アウト×デラックス』のスタート以降、“珍しいキャラクターの一般人”を紹介する番組が他にも出てきていますが、そこのネタかぶりもまたハードルになりますよね。
そうなんですよ。でも、いろいろと限られている中でこういう一般の方の密着モノも取り扱っていくのかなあとも思いますね。だから、そこはプライドとして、全く違う角度じゃない場合はかぶる人を出さないと決めています。見ている人が「『アウト』が他の番組と一緒になってきているじゃん」と言われがちになってしまうので、そこは古参のファンを大事にするということで、避けるようにしています。他の番組も良く作られていて、面白くて見てしまうんですけれどね。
――加藤一二三さん、栗原類さん、最近ではボディビルダーの横川尚隆さんと、番組発のスターもコンスタントに出てきますよね。
もともと面白かった人が、この番組に出てマツコさんと矢部さんが掘り下げることによって、面白さにみんなが気づくきっかけになったというのがあるのかもしれないですけれど、こっちからは何も仕掛けていないので、何かそういうのをやりたいなという気持ちがあるんです。TIF(TOKYO IDOL FESTIVAL)のパロディーで、戦慄かなのさんを中心にして「TOKYO OUT IDOL FESTIVAL」みたいなものとか、テレビだけで終わるのはもったいないので、外にも広げていきたいと思っています。
――ひふみんさんがクラシックコンサートで指揮に挑戦するという企画もありましたし。
あれは『めざましクラシックス』さんにお邪魔していたのが、3回目で向こう側からオファーを頂けて(笑)。そういうのはめちゃくちゃありがたいですね。
■「普通じゃない」人たちの愛おしさ
――最近で特に印象に残っているアウトな方はどなたでしょうか?
“アウト×デラックスのスタッフになりたい女優”の小野みゆきさんに、2020年の「アウトアワード」を選んでもらったんですけれど、そこでも絶賛されたTHE BACK HORNというバンドの菅波栄純さんはめちゃめちゃおもしろかったですね。エピソードが破天荒すぎて、極度の人見知りを治すために1人で海外にパジャマで出かけて、寂しいからダッチワイフを彼女にして(笑)。本当の彼女だから名前もあるんですけれど、スタジオで「なんて名前をつけたんですか?」って聞かれると、「名前言ったらバレるんで、非公開です」と答えるんです。これがギャグじゃなくて、純粋にそう思っているんですよね。これは素晴らしいなと思いました。
やっぱりアーティストや俳優さん、女優さんって、「普通じゃない」という意味でみなさん“アウト”なんだなと思いますね。
――紙一重なんですね。
人前であんなパフォーマンスができる人って、やっぱり普通の精神状態じゃできないと思いますから。他の部分はアウトでも致し方ないし、そこが愛おしいなと思います。
――最近は、三倉茉奈・佳奈姉妹を瞬時に見分ける「フラッシュマナカナ」のこっちゃんさんが、めちゃくちゃ面白かったです(笑)
僕のポリシーで、基本的に芸人さんは出さないというのがあるんです。どうしてもウケを狙いにいっちゃいますから。だから、リサーチにも出ませんし、ディレクターも上げてこないんですけれど、あれは芸人さんとしてのネタではなく、ここまで突き詰めている面白さで出てもらったんです。放送では出せなかったんですけれど、今まで集めたグッズをいっぱい持ってきて、本番10分前まで「これすごいでしょう、これもすごいでしょう!」って自慢してきて、これは本物だなと思いました。
いずれ、視聴者から「我こそはフラッシュマナカナができる」という人を視聴者から募集して、最後は生放送でこっちゃんさんと対決してもらいたいと思っています(笑)
――対決した矢部さんの正解率もすごかったですよね(笑)
矢部さんにあれだけ当てられてしまうと、僕としては「こっちゃんさんのすごさが薄まる…」と心配してしまうんですけれど、そこをこっちゃんさんが上回って全問正解してくれたから、『アウト』が始まって以来一番拍手が起きた回なんですよ。みんな「アウト」とか「グッド」とか忘れて、普通に「おーーーー!!」って(笑)。ああいう人が出るとみんなが1つになって、良い回でしたし、面白かったですね。
■フジのイズムが生きた緊急撮って出し放送
――作家の石原健次さんにも伺いましたが、諸事情で急きょ放送当日の収録を撮って出しして、「サイコロトーク」をやった回も面白かったです。
あれはフジテレビのイズムですね。特に、三宅(恵介)さんや渡辺琢さんなど“明石家さんま一派”のスタッフがそうだと思うんですけれど、“ピンチになっても笑いにすればいい”という精神があるんです。だから、内容をすぐ決めて、昼の1時に収録が始まったんですけれど、12時にみんな普通に昼ご飯食べていましたから(笑)。もう、これに決めると腹をくくれば動ける人たちなので。
――視聴者として見ていても、久しぶりにワクワクする放送でした。
あんまり連発することはできないんですけれど、世間が「何をやってくれるんだろう」って期待してくれてハードルも下がりまくっていたみたいで、思ったより応援の声が多かったですね。
その後、年内最後のクリスマスイブのOAは生放送にしました。その前が『VS嵐』の最終回、後ろに『明石家サンタ』の生放送があったので、その間にある『アウト』がいつもの放送だったらお祭り感もないし、せっかくなのでということで。KinKi Kidsさんの「シンデレラ・クリスマス」をものまねのNinKi Kidsさんにお願いして塚田(僚一)さんにも踊ってもらったり、ミラクルひかるさんが昨年賑わせた広瀬香美さんのものまねで歌っているところに広瀬さん本人に登場していただいたり、MカップグラビアアイドルのももせももさんがNiziUさんを踊ったりして、後半には(明石家)さんまさんも来ていただいて。
「アウト歌謡祭」はずっとやりたかったので、ちょうどいい機会だなと。いきなり生放送で試してしまいましたが。皆さんとてもアウトでグッドなパフォーマンスを見せてくれたので、絶対またやります!! また、広瀬さんにはぜひ、通常回でゲストとしてお願いしたいと思っています。放送が終わった後に、「もっとお笑いの勉強したい」とおっしゃっていたので。