――逆に、バラエティの経験を『ZIP!』で生かした事例はありますか?
『ZIP!』にはスタッフが260人いるんですけど、尊敬できる生放送のプロがめちゃくちゃ多くて。ニュースや天気、中継に関しては報道出身のプロがいて、スポーツやショウビズには取材センス抜群なプロがいて、さらに情報の伝え手としての桝太一アナ、徳島えりかアナの素晴らしさたるや…ハンパないです。
自分の持っていないものをみんな持っているので、何か僕なりの新しい企画で早く貢献したいなと思ってたんです。具体的に、「このVTRはこうしたほうがいいんじゃないか」とか、ナレーションの言い回しとか、テロップの入れ方といった部分は日々言わせてもらっているんですけど、コーナーとしては7時半頃にやってる「星星のベラベラ(better better)ENGLISH」を企画させてもらいました。
昔、『ズームイン!!朝!』でやってた「ウィッキーさんのワンポイント英会話」がすごく好きだったので、ああいうのをやりたいと思っていたんです。そんな中、リアルなパンダの着ぐるみを作っているブラストさんという会社をたまたま別のタイミングでご紹介いただいていたので、ちょっと腹黒いパンダの星星(セイセイ)が女の子に小粋な英会話を教えていくようなドラマコーナーのようなものがやりたいですねっていう話をして、去年の11~12月からみんなで企画を揉んで、2月の頭からスタートしました。
――星星は白い部分の汚れ具合も含めて、めちゃくちゃリアルですよね。
そうなんですよ。ちょっとリアルすぎるので、先日、お風呂に入ってきれいになりました(笑)。ブラストさんって本当にすごい天才が数人いるクリエイター集団で、リアルなものを作るのに世界一と思うくらい長けてるんですよ。それで、世の中の人が本物のパンダと見間違えることを意識して作ったので、汚しの部分も色味で染めてたんですけど、ちょっとリアルすぎたので、朝の番組に合ったきれいなパンダにしなきゃと、やり始めてから気づきました(笑)
――『天才!志村どうぶつ園』にも出演しましたよね。
自分が作ったコーナーのキャラクターなので、周りのみんなにゴリ押しして有名にしようと思って(笑)。『ZIP!』をやるまで『志村どうぶつ園』の統轄プロデューサーもやっていたので、(総合演出の)清水(星人)さんに「パンダをスタジオに出したら絶対盛り上がりますよ」って言って出してもらって(笑)。でも、あの放送(3月5日収録、同21日放送)が志村師匠のいらっしゃった最後の収録だったんですよね。そのとき、師匠に久々にお会いできたので、本当に行けてよかったと思います。
あとは、番組対抗特番で僕が担当してるコーナーに星星を出して、TOKIOのみんなに「こいつが人気になるかどうかで俺の人生が懸かってるから、みんな頼むよ」ってお願いして、いっぱいイジってもらいました(笑)
――ビジネス展開を目的としたLLPも設立されましたし、これからバラエティ番組のみならず、いろいろ活躍の場が広がりそうですね。
そうですね。愛されるキャラクターとして、いろんなことができるんじゃないかと思っています。
■番組開始以来のテーマ曲を変える決断
――この春からテーマ曲が、番組開始以来使用されてきた山下達郎さんの「MY MORNING PRAYER」からMr.Childrenさんの「The song of praise」に変わりましたよね。これも大きな変化だと思います。
これはやっぱり相当悩みました。達郎さんの曲は僕も視聴者として聴いていて大好きだったんです。そんな中、去年『ZIP!』に新しい憲法を作ろう、と総合演出の池谷(賢志)くんが中心になって「ニッポンの今見たい、を伝える」というルールを定め、それにすべての中継やVTRも則って作り始めたのですが、どうも去年の夏くらいから、世の中が良いニュースよりも悪いニュースのほうが圧倒的に多くなっているような気がしたんです。
そんな時に、達郎さんが東日本大震災の直後に始まった『ZIP!』に曲を作ってくれたあの時の気持ちに、もう1つ何か乗せることができないか。“清濁併せ呑む”じゃないですが、嫌なことばかりで目を背けられないけど、それを飲み込んで前向きに進めるような見せ方に番組自体も変えていきたいと思って、それを歌で表現できないかと考えたんです。そこで日テレの大型音楽特番を担当している江成(真二)先輩に泣きついて(笑)。ダメ元でMr.Childrenさんにお願いしました。
――どのようにオファーされたのですか?
生意気にも、お手紙を書かせていただきました。学生の頃から散々曲を聴いてきた憧れのスターに「こんな気持ちで僕らは番組を作っています!」っていう、本当にラブレターみたいな今思うと恥ずかしい文章を託して(笑)。そしたら後日、桜井和寿さんが詞をつけ、自ら歌を入れたデモ音源を聴かせてくれたんです。最初に聴いたとき、「今僕が立ってる居場所を 憎みながら 愛していく」という言葉に、僕らが思っていたことってこれだ!と思いましたね。毎朝、画面の先にいる皆さんに届いてほしい、と思っていた気持ちが凝縮されていて、心の底から感動しました。
――朝は各局で情報番組がひしめき合っている時間帯ですが、やはり裏番組は意識されますか?
意識したないと言ったらウソになりますが、そんなに意識はしてないかもしれないですね。どの番組でもそうなんですけど、「打倒!裏番組」っていう考え方はもう完全に平成で終わりの話で、今これだけいろんなプラットフォームがあって、地上波を見なくてもスマホで済む人たちがいる中で、同じ地上波を盛り上げる仲間だと思ってます。
『ZIP!』も盛り上げたいし、『めざましテレビ』も『グッド!モーニング』も『あさチャン!』も盛り上がってほしいと、本当に思います。「朝はやっぱりテレビ見たいよね」っていう感じにしていかないと、テレビが終わってしまうと思っているので、どこの局もすべて、地上波という神輿を一緒に担いでる仲間たちだと思ってます。