――「テレビは規制が厳しくなってきた」とよく言われたりしますが、現場で感じることはありますか?
月並みな言い方ですが規制云々っていうのは、ルールが足されたってだけでそのルールに従ってやっていくしかない。テレビが変わったというよりは世の中の価値観や考え方が変わったってことだと思います。だから、仮に規制を無視してやったとしてもそんなに面白くはならないと思うんです。それに合わせてスイッチを切り替えればいいだけ。ただ、テレビ欄を眺めると、お笑い色の強いバラエティ番組がもうちょっと増えればいいなと思いますね。
――春日さんによく似た古井ひでおさんとYouTube(※「古井ひでおチャンネル」)をやられていますが、ネットとの関係はどうお考えですか?
あれは、おじさん2人が何のプレッシャーもなくやってるだけなんで、ずっと10年間くらいやり続けたら面白いだろうなと(笑)。何のためにやってるのか、まったく分からないのがいいなと。だから、ネットの関係を語るなんて滅相もないですし、しっかりやってるYouTuberの方と比べることなんてできないですよ(笑)
※…日本テレビ『犬も食わない』のコントで春日俊彰が演じた「YouTuberナメてるおじさん芸人・古井ひでお」がリアルで開設したYouTubeチャンネル。なぜか番組終了後も、週1回のペースで新作を配信し続けている。
――ご自身が影響を受けた番組を1つ挙げるとすると何ですか?
『電波少年』(日本テレビ)ですね。影響を受けているというより、ものすごく好きでしたね。企画が途中で終わったらいきなり「終了」ってなる。そういうめちゃくちゃ乱暴なのが面白かったです。あんなに見たことない映像をバラエティに持ち込んでいったのがすごいなと。見る分には良かったですけど、もし復活したとしてもあの番組のディレクターは絶対にやりたくないですけどね、怖過ぎるんで(笑)
■近いうちに純度100%のオードリーの番組を
――今後やってみたいことはありますか?
最近、同僚のディレクターとよく話するんですけど「いま、実は幸せなんじゃないの?」って。確かに、いま、やりたいことをやれているんですよ。『水曜日』に行けば、部活みたいなノリで面白いことができて楽しいし、『勇者ああああ』では好きなゲームを題材に番組を作ってる。もちろん、『クイズ☆タレント名鑑』とか『芸人キャノンボール』とかをまたやりたいなって気持ちはありますけどね。
ですが、やっぱり『とんぱちオードリー』みたいな純度100%のオードリーの番組はどこかでやりたいですね。若林とも話すんですけど「ふざけられるのはあと数年だな」って。「いま、ふざけてれば、50歳になってもふざけられるけど、歳とって急にふざけることはできない」。だから、近いうちにやりたいですね。そのときは、やっぱり総合演出で。プレッシャーですけど、やるべきな気がします。どうしても無理だったら、そのときは「古井ひでおチャンネル」を続けます(笑)
――いろいろお話を聞かせていただき、ありがとうございました。最後に、気になっている“テレビ屋”をお伺いしたいのですが…
放送作家の飯塚大悟くん。オークラさんや大井洋一さんのような方たちよりちょっと上の世代はもう“レジェンド”みたいになってますけど、飯塚くんもいま相当な数の番組やってると思うんですよ。けど、あまり知られていない。いつも楳図かずおのマンガTシャツ着て“変なヤツ”感がすごいんですよ。落研出身でネタを作るのもうまいですし、バラエティマニア。気になるというより世の中に知ってもらいたい。本人も「カリスマになりたい」って言ってるので(笑)