――増田さんは企画・演出なので、普通の番組なら上がってきたVTRをチェックして全体を演出する立場だと思うのですが、この番組では他のディレクターさんと同じようにロケに行ってますよね(笑)
そうなんです(笑)。前のめりになっちゃって番組全体を冷静に見れないかもしれないですが、他のディレクターも頑張ってるから自分も最前線に行かないと納得できないんですよ。やっぱりロケに行かないと分からない温度感もありますし。
――ディレクター陣で意識して共有していることはあるんですか?
その人がグレートなことが分かるものをちゃんと描くということですね。こういう番組って、自宅を取材したら金目のものをいじって「これいくらですか?」と聞きがちじゃないですか。でも、この番組では、登場する人がいかにグレートなのかが分かる何かを見つけてほしいというのは、結構伝えています。それがボロボロの雑巾でも、その人の思いが浮かび上がってくればいいんです。
――大豪邸に行ったら、年収とか聞いてしまいそうです。
でも、年収を言う人って、なんかお金持ちの自慢みたいになっちゃって嫌な感じじゃないですか? それよりももっと描くべきものがあると思うんです。この番組でも、最初はそっちを中心に聞くべきかなと思ったりもしたんですけど、「セレブ番組」を作るのではなく、「人脈の不思議さ」や「グレートさんのグレートさ」を描くのが『グレートコネクション』の主題なんで、あまりそっちにはいかないようにしようってなりました。
――確かに、この番組は絵に描いたようなセレブの人も嫌味に感じないんですよね。
タレントさんがロケに行ったらまた違うと思うんですけど、この番組はディレクターが行ってずーっとカメラを回してるので、油断して心を開いてくれる瞬間があるんですよ。ディレクターもみんな人たらしなので、取材した人と仲良くなって、いい人に見えるということもあると思います。
■テレビの常識をぶっ壊してくれる
――数珠つなぎが途切れてもう1回グレートさんを尋ねても教えてくれるし、すごく協力的ですよね。今まで出会ったグレートさんを特集して、また違う番組も作れるんじゃないですか?
テトリス社の創業者一族の方とは個人的にも連絡先を交換してやり取りしてるんですけど、番組では紹介しきれていない宇宙のことや環境問題のことなど、話題をどんどん提供してくれるんです。テレビ局のリサーチってどうしても偏ってしまうんですが、想像もしない話題が来るので、それで企画のヒントをもらえることもありますね。
あと、グレートさんたちに気付かされたのは、テレビマンって「これは無理だな」「これはできないな」って勝手に線を引きがちじゃないですか。自分がそうだったんですけど、その壁をグレートさんが笑えるくらいぶっ壊してくれるんです(笑)。絶対撮影できないだろうと思った場所も「いいよ、こっちで許可取っておくから」と言ってくれたり、ある大企業の社長も広報を通さずトップダウンで動いてくれたりとか、そういうことが結構あるんです。
――テレビマンとして、勇気をもらえますよね。
そうですね。よく「最近のテレビは小さくなってる」とか言われるかもしれないですけど、まだこんな可能性があるんだって思わされます。いつもギリギリまでロケしていて、収録前になると「え! そんなの撮ってきたの!?」という驚きが毎回あるので、僕が一番楽しみながらやってます(笑)
――グレートさんに会うためにいきなり海外に飛ぶこともありますし、予算管理も大変な番組じゃないですか?
普通ディレクターってそういうことは心配しないんですが、ちょっと海外に行き過ぎてプロデューサーに「さすがにお金ないんじゃないですか?」って聞いたら、「お前は金のことなんて心配するな。すごい映像を撮ってくるのがディレクターだろ」って言われて、うれしかったですね。終わった後に「あぁお金かかったなぁ~」って小言言われますけど(笑)
――番組の反響はいかがですか?
業界の方が結構見てくれていますね。
――やっぱり登場する人のインパクトがすごいから、次のデヴィ夫人的な人を探しているんですかね。
でも、この番組に出てくる人は、グレートさんから紹介されるから出てくれるのであって、普通に声をかけても出演してくれないですからね。本人たちも「他の番組からオファー来たけど断っちゃった」って結構言ってますもんね。本当に友達パワーってすごいなと。
■番組をポップにしてくれるバナナマン
―――MCのバナナマンさんは『沸騰ワード10』でもご一緒されていると思いますが、お2人の魅力はどんなところですか?
設楽(統)さんは、VTR中の人間の細かい機微に気づいて笑いを作ってくれるんです。ディレクターの変な動きまでずっと見てるから、「そこイジるの!?」っていうところに気づいてくれるし、それでVTRをより面白くしてもらっています。日村(勇紀)さんは、リアクションがすごく大きいので、その熱量に周りのタレントさんも引っ張られてワンランク、ツーランクくらいリアクションが大きくなって、スタジオがすごく盛り上がるんですよ。逆に日村さんのリアクションが悪いときは、猛反省です(笑)
――グレートさんたちの強いVTRだけでも番組は成立すると思うのですが、スタジオパートが面白さを増幅させているんですね。
バナナマンさんって『紅白歌合戦』でも副音声をやっていて、そういうガイド的な役割がうまいじゃないですか。僕らのVTRをそのまま流したら「おじさんたちの旅日記」になっちゃうんですけど、あそこでツッコんだりリアクションしてくれることで笑いができて、番組をポップにしていただいているところがかなりありますね。
――本当に取材量の多い番組で大変だと思いますが、レギュラー化の野望など、今後の展望はいかがですか?
レギュラー化したいですよ、もちろん! 言ってください、あちこちで(笑)。単発だと毎回土壇場勝負ですが、レギュラーならあのタイミングで撮れたのに…というネタがたーくさんあるので、頑張っていきたいです。それと、「人のつながり」を見せる番組なのでこういう編集をしていますが、グレートさん自体に注目すると本当に皆さん面白い人ばかりなので、それでドキュメンタリーを作れたら結構面白いなと思いますね。テトリス社の創業者一族の方は、ハワイを全部ソーラーエネルギーで賄えるようにしたいといった活動をしているので、『24時間テレビ』でも紹介できるじゃないかと思ったり(笑)
――今回で6回目の放送となりますが、見どころをお願いします。
モナコに「ナイト」という謎の肩書を持った日本人がいらっしゃるんですけど、その方がいろんなテレビ初解禁を連発してくれるので、そこが一番の目玉ですね。それから、ちょっとだけ国連本部に入ります(笑)。モナコからニューヨークに飛ばされて、もうバタバタでしたけど(笑)。貴重な映像をたくさんご覧いただけると思います。