――これまでも原作のあるドラマや映画を手がけられていますが、その際、大事にしていることはなんですか?

『スーパーサラリーマン左江内氏』最終話より (C)NTV

今回の『左江内氏』はちょっと特殊だったと思うんですよね。『銀魂』とか『アオイホノオ』とかをやるのとはちょっと違う。なんせ、だいぶ時代が違いますからね。それに『左江内氏』は短編で、連載期間も短い。連ドラにするためにはたくさん要素を足さなくては成立しないんですよね。ただコンセプト自体は大事にしなきゃいけないと思いました。原作が書かれたのは1979年ぐらいなんですけど、お父さんがヒーローになっても大した敵がいないんですよ。劇的な事件も起こらない。だからすごく家庭周りのユルいことばかりをヒーローの力を使って解決してるんです。それをあの時代によく藤子・F・不二雄先生は考えついて書かれたなあってリスペクトしてるんです。

ドラマを見てくれている人でも、原作を読んでいない人が多いと思うんで、なんで敵が出てこないんだって思ってるかもしれないんですけど、それは原作通りなんです。あくまでも基本はホームドラマ。家族の話がベースになっているヒーローものなんだっていう、そこは絶対に外さないようにしようと。そこを捻じ曲げて変に『スパイダーマン』のような巨大な敵に立ち向かうヒーローものにしちゃうのは違うなって思うんです。原作の一番大切なところさえ外さなければ、絶対にブレないし、批判されることもないって信念があるんで、それを守って最終回まで走りきっています。

――これまでに福田さんが影響を受けたテレビ番組を1本挙げるとすると、何ですか?

『とんねるずのみなさんのおかげです』(フジテレビ系、1988年~1997年)ですね。今の自分の笑いの作り方の根幹になっています。

――いろいろお話を聞かせていただき、ありがとうございました。最後に、福田さんの気になっている"テレビ屋"をお伺いしたいのですが…

フジテレビのドラマ監督で『のだめカンタービレ』や『デート~恋とはどんなものかしら~』などを手掛けた武内英樹さんです。演出の方針が好きで、笑いを真面目にやられていると思います。

次回の"テレビ屋"は…

フジテレビ・武内英樹氏