最後の挑戦者はチームSASUKEで、「ミスターSASUKE」こと山田勝己を筆頭に、漆原裕治、日置将士、山本桂太朗、森本裕介の5人が登場した。

「熱血肉体派の彼らが頭を悩ませ、クイズに挑戦する」という意外性とギャップの面白さがあり、キャスティングのうまさを感じさせられる。しかし、チームSASUKEは何とか9択問題まで進んだものの、「ミラクルソード」を使って2択に絞り、賞金160,000円まで下げた上に不正解でゲームオーバーとなってしまった。

択一クイズという形式である以上、重要なのは「不正解の選択肢をどう作るか」であり、例えば10択では9つの不正解が必要なためクイズ作家のセンスが問われる。その点、当番組は9度目の放送だけにこなれている感があり、正解から逆算して「そう考えたか」という目線で見る面白さがあった。

また、番組スタート当初の挑戦者は単独だったが、ファミリーやチームでの出演にシフトしたこともゴールデンにふさわしい華やかさにつながっていた。しかも2~5人のチームになれば、当然「誰かが知っていて正解する」という可能性が増えていく。

さらに、以前はアイテムが各1回ずつしか使えなかったが何度でもOKになったこと。大ハズレのない新アイテム「ティーチャーズソード」を用意したことなどで、「正解して勝ち進む可能性を高めて盛り上げよう」という方針を感じさせられた。そもそも番組名が『倍倍』ではなく『倍買』なのは「アイテムを買う」という前提によるものだけに、これらの変更は必然かもしれない。

気になったのは、今回のように小中学生の問題にしたことで、「『クイズ!あなたは小学5年生より賢いの?』(日本テレビ系)の後発番組」という印象を与えかねないこと。また、放送前から放送中にかけて何度も「完全制覇者現る」とネタバレしてあおっていたが、自局ファーストな演出であり、「獲れるか獲れないか」をめぐる視聴者の楽しみを削いでいた。視聴率至上主義を思わせるこの2点のさじ加減を間違えると、「よくあるクイズ番組の1つ」で終わってしまうのではないか。

ただそれでも、「真実の口」を思わせるセットからカジノ風のテーブルに1枚10,000円相当の金貨が出てくるセットや、各種アイテムの小道具はポップかつ華やかで、バナナマンの進行は安定感たっぷり。さらにブラッシュアップを続けることで、レギュラー化への期待は膨らんでいくだろう。

クイズ番組はファミリー層狙いの戦略として2010年代に急増したが、2020年代に入ると複数のレギュラー番組が立て続けに終了。苦しい時期に入りつつある中、ありそうでなかったクイズ形式の番組だけに、TBSには大切に育ててほしいと願わずにはいられない。

■次の“贔屓”は――民放各局の戦略を変えた特番の第2弾『ダウンタウンvs Z世代』

『ダウンタウン vs Z世代』 (C)NTV

今週後半放送の番組からピックアップする次回の“贔屓”は、2月4日に放送される日本テレビ系バラエティ特番『ダウンタウン vs Z世代』(19:00~)。

昨年8月13日に「ダウンタウン6年ぶりの日テレ新特番」として放送され、高視聴率を獲得したほか、民放各局の番組制作に大きな影響を与えた大型特番の第2弾。今回のメインテーマも「ヤバイ昭和」で、当時の映像とともに昭和世代とZ世代のトークバトルが予定されている。

前回放送からの約半年間、「ヤバイ昭和」は他局の番組に消費されて続けているだけに、どんな対策や新たな試みが見られるのか。業界内の注目度も高い。