3人目の横田はボクシング歴11年で、「絶対に1発当てます」と話すなどガチンコかつ謙虚で、最後の相手にふさわしい。しかし、武尊はあえてノーガードで顔を出し、右パンチを2発しか打たないなどの余裕を見せて3-0で判定勝ちを収めた。
「武尊の3連勝で終了」と思いきや、ここで覆面をかぶった“マスク・ド・ボクサー”が登場。その正体は5度防衛した元世界王者で、対戦相手に体育会格闘軍を指名すると、スタジオの上田竜也が「血がたぎってきちゃって。春日さん、代わってくれない?」と急きょ交替出場が決定する。これが「台本通りだったのか」どうかはさておき、生放送らしい微妙な“間”の臨場感があったことは確かだ。
ただ、ここでカメラが切り替わり、サッカー日本代表のGK権田修一VSラモス瑠偉率いる芸能界最強キッカー軍のコーナーがスタート。「5人誰が蹴るかわからない」というPK方式は2日放送の『とんねるずのスポーツ王』(テレビ朝日系)で見られた形と似ていた。ただ、こちらは1つのボールのみを使うため、さほどGKの不利はないのかもしれない。
メンバーはラモス、ライセンス・井本貴史、土佐兄弟・有輝、お見送り芸人しんいち、ディエゴ・加藤・マラドーナの5人。1本目は有輝が左に外して失敗、2本目はラモスが成功、3本目は井本が成功、4本目はお見送り芸人しんいちが失敗、5本目はディエゴが失敗して、権田が勝利を収めた。
ここで再びカメラが生放送のボクシング元世界王者VS上田&横田に切り替わる。今回は、「3分1ラウンドをリレー」「マスクマンの顔面に計2発クリーンヒットさせられるか」「マスクマンは利き手ではない左パンチしか使えない」と、かなり上田と横田の有利なルールとなった。
結局、2人目の横田が1発入れたもののマスクマンの勝利。ただ、あまりに不利なルールのためマスクマンがパンチを放つシーンが少なく、盛り上がりを欠いたように見えた。
■スタッフの優しさと過剰なあおり
マスクマンは勝ったため覆面を取る必要性はないのだが、お約束のように自ら取って正体が内藤大助であることが明かされてコーナーは終了。さらにエンディングで、かつて番組レギュラーだった、あき竹城さんの映像が流れ始める。最後の出演でも春日とフワちゃんを電話で激励するなど、母親のように出演者たちを応援する、あきさんの温かい人柄が紹介された。
この番組のスタッフはアスリートだけでなく、芸能人にも優しさを感じさせるシーンが多い。実際この日も、生放送のスタジオに登場した松本若菜や影山優佳の良さを引き出すような演出が何度も見られた。
そんな良さがあるだけに、「完全制覇者は現れるか」「今宵あの男が体育会TVのリングに立つ」「今、武尊選手が……」「いよいよゴング」などのあおり映像の過剰さがもったいない。今回は3時間という長さだけに、ある程度は入れなければいけないのだろうが、「視聴者の時間を奪っている」「その都度、落胆させている」というデメリットは放置されたままだ。
ハイテンポの編集が徹底され、早送りやスキップがしやすいネット動画との落差は大きく、特に競技の真剣度やリアリティが高いスポーツバラエティでは、それが悪目立ちしてしまう。この日の競技内容も見応えがあっただけに、長年変わらぬ悪癖にストレスを感じてしまった。
結局、今回の放送は「今できる全力に近い内容を見せた」という感が強く、今後に向けた大型企画などの可能性は見つからなかった。ただ、もしレギュラー放送が終了したとしても、特番としての価値は十分あるだろう。何より「スポーツバラエティならTBS」というせっかくのブランディングを手放さないでほしいと願っている。
■次の“贔屓”は――櫻井翔主演ドラマと大胆コラボ『SHOWチャンネル 合体SP』
今週後半放送の番組からピックアップする次回の“贔屓”は、14日に放送される日本テレビ系『SHOWチャンネル×大病院占拠 合体SP』(21:00~)。
今回の放送は、番組終了直後にスタートする連ドラ『大病院占拠』との合体SP。しかもその主演をMCの櫻井翔が務めるだけに、つまり大々的な番宣となるのだが、どんな工夫が施されているのか。
そもそも、バラエティMC、ドラマ主演と2時間連続で櫻井翔をフィーチャーする編成は大胆であると同時に、「見る側の切り替えが難しい」などのリスクがあるだけに、その是非を探っていきたい。