最後の『キングオブコント2022』は、「梅田サイファーのメンバー10人がそれぞれ出場10組のラップを担当する」というスタイリッシュなオープニングからスタート。一度きりしか使えないのがもったいないと思うほどのクオリティであり、ここまでお膳立てしてもらえるのなら、ファイナリストのみならず、来年に雪辱を期す敗退者たちのモチベーションも上がるのではないか。

出演順に点数のみをあげていくと……クロコップ:460点、ネルソンズ:466点、かが屋:463点、いぬ:459点、ロングコートダディ:461点、や団:470点、コットン:470点、ビスケットブラザーズ:481点、ニッポンの社長:455点、最高の人間:462点で、ビスケットブラザーズ、や団、コットンの3組がファイナルステージに進出。

ファイナルステージは、や団が473点で計943点、コットンが474点で計944点、最後のビスケットブラザーズが482点で計963点を叩き出して優勝し、そのままエンドロールが流れて番組は終了した。できればダウンタウンに『お笑いの日2022』の総括をしてほしかったところだが、それは望みすぎなのだろうか。

ちなみに、ビスケットブラザーズは歴代最高得点だったが、ネット上の反応では例年以上に「納得がいかない」という声が目立っていたのも事実。主にコットン、や団の支持が高かったが、その他にも、ネルソンズ、クロコップ、かが屋、最高の人間などと名前があがるコンビが多く、これこそ盛り上がったことの証だろう。

『キングオブコント』は2008年のスタートから15年の間に話題性、視聴率ともに低迷した時期もあったが、2年前に『お笑いの日』のメインコンテンツとなってから復調傾向が見られる。『R-1グランプリ』(カンテレ・フジテレビ系)や『女芸人No.1決定戦 THE W』(日本テレビ系)もあるが、この2年の盛り上がりを見る限り、『M-1グランプリ』(ABCテレビ・テレビ朝日系)との“2大賞レース”という位置づけに戻ったのではないか。

■お笑い特番で激しく競うTBSとフジ

最後にあらためて『お笑いの日2022』全体を振り返ると、今回も「ネタコンテンツのリレー方式」という構成だったが、スペシャルユニット→あらびき芸→旬芸人の王道ネタ→賞レースと、その構成はバランスも緩急も抜群だった。各コンテンツのMCがクロストークするつなぎの時間帯も生放送らしい豪華さと臨場感があり、これこそがかつてテレビが持っていた魅力のようにも見える。

今後も1日限りのユニットやネタ、意外性や危険性を感じるゲストの出演、そして『キングオブコント』の盛り上がりをキープできれば、「ダウンタウンのトークを8時間生放送で楽しめる」というプレミア感も含め、国民的特番に近づいていくのかも……と期待してしまう。

その意味で比較せざるを得ないのが、9月10・11日に約9時間生放送された『FNSラフ&ミュージック2022~歌と笑いの祭典~』(フジテレビ系)。フジは『まっちゃんねる』『お笑いオムニバスGP』らの野心的な特番と、『新しいカギ』『千鳥のクセがスゴいネタGP』『ネタパレ』らのレギュラー番組があるにもかかわらず、それらを生かす「この日限り」の仕掛けは少なかった。予算やスタッフの調整など、難しさがあるのは分かるが、『お笑いの日』のような思い切ったお笑いフェス特番を仕掛けられないのがもったいないところだ。

今秋から『ザ・ベストワン』が特番化されたことで、ゴールデン・プライム帯からレギュラーネタ番組が消えてしまったため、「お笑い=TBSのイメージ」とまではいかないが、視聴者に向けたブランディングに成功しているのは間違いないだろう。

「唯一無二のお笑いフェス特番を俺たちが盛り上げるんだ」という制作陣の強い自負を随所で感じさせられたし、3年目の放送でその番組名にふさわしい風格が漂ってきた感がある。

■次の“贔屓”は……マニアが熱狂する一日に密着!『熱狂! 1/365のマニアさん』

『熱狂! 1/365のマニアさん』MCの東京03飯塚悟志(左)とウエンツ瑛士

今週後半放送の番組からピックアップする次回の“贔屓”は、14日に放送されるTBS系バラエティ番組『熱狂! 1/365のマニアさん』(毎週金曜20:00~ ※14日の初回は19:00~2時間SP)。

その番組名を見れば、どんな内容なのか分かるのではないか。「あるジャンルのマニアが熱狂する1日に密着する」というコンセプトの番組で、初回は、さつまいもや北海道などのマニアをフィーチャー。

「マニアをフィーチャーした番組」と言えば、同局には『マツコの知らない世界』もあるが、どう棲み分けしていくのか。重要な1回目の放送にその制作スタンスが表れているだろう。