気になったのは、「決勝の動画がわずか5本に留まり、それぞれ3人・5人の同時優勝」というヌルっとした結末。トーナメント戦を売りの1つにしているのなら、1~2人に絞られるまでやってほしいところだが、別撮りしているだけに難しいのだろう。
その意味で今回はスタッフの読みが甘かったのかもしれないが、優勝者の“豪華賞品”がフルーツ盛り合わせだったことも含めて、物足りなさを感じてしまった。
全編を通して感じられたのは、日テレらしい細部にわたる演出の工夫。各動画を単に見せるだけでなく、より驚かせ、笑わせるために、面白い表情をアップで映したり、スローやBGMを使って笑わせたりなどの工夫が随所に見られる。間延びさせない動画の切り取り方も巧みであり、動画視聴後のコメントも含めて、ストレスなく見てもらうための配慮を感じさせられた。
画面演出は合理的でムダがない。出演者の多くは個別で撮影されていたが、「その背景はカラフルなイラストで出演者を合成で組み込む」という形を採用。出演者のスケジュールに合わせて、いつどこでも別撮りできるため、スタジオ関連の費用を抑えられるほか、出演者の負担も少なくてすむ。前述したように、各ブロックの組み合わせをあとから自由に決めて編集することもできる。
また、画面右上には動画数を示す「0/14」という目安のカウンターがあった。何気ない画面演出だが、長時間にわたって動画を見せていく番組だけに、飽きられてザッピングされないための効果的な演出と言っていいだろう。
田中圭や風間俊介が本気で挑んで番組を盛り上げていたが、俳優の中には「バラエティ出演が苦手。特にセリフのないトークパートに戸惑ってしまう」というタイプが少なくない。その点、自然なリアクションを見せればいいこの番組は負担が少なく、「他のバラエティより番宣で出やすい」はずだ。
■3時間はさすがに欲張りすぎたか
一方の制作サイドとしても、画面の半分が顔のアップになるなどのシーンが多いため、やはり美男美女がそろう俳優が映える。実際、出演者の多くは俳優であり、「衝撃映像」の決勝進出者は全員俳優。ちなみに番宣は、自局の秋ドラマだけでなく、Huluのドラマ、映画、ミュージカル、歌舞伎、写真集、来年8月のイベントまで、その内容は幅広かった。
スタッフと出演者の負担が軽く、制作費が抑えられ、改編期に必要な番宣もしやすい。さまざまな点で、「2年間で8回目」のハイペースで放送されている理由が感じられた。
ただそれでも、いわゆる“映像集”というジャンルの番組で3時間はさすがに長すぎる。いくら番宣を絡めて出演者を豪華にしても、やり過ごすのは難しい長さだったのではないか。第7弾までは長くても2時間だっただけに、今回は欲張った感が否めない。
この日は裏で『衝撃の早ワザ映像150連発! 世界スピードスターGP』も放送されているなど、今秋は民放各局が改編期に映像集特番を乱発。この2週間のゴールデン特番だけで6本も放送されただけに、「多すぎる」「だからテレビは……」と言われても仕方がないだろう。
工夫を凝らした『ワールドドキドキビデオ』は、そんな映像集特番における現時点でのトップランナーであることは間違いない。しかし、華やかな特番が多いはずの改編期に、「誰かが撮った」ものを編集した映像集が増えていく現状に寂しさを覚えてしまう。
■次の“贔屓”は……8時間生放送で何かが起こる!?『お笑いの日2022』
今週後半放送の番組からピックアップする次回の“贔屓”は、8日に放送されるTBS系バラエティ特番『お笑いの日』(14:00~)。
すっかり秋の風物詩となった『お笑いの日』だが、今年は過去最多の106人が出演し、8時間生放送される。その内容は、『お笑いプラスワンFES』『あらびき団』『ザ・ベストワン』『キングオブコント2022』の4番組リレー。
真剣勝負のコント王者決定戦はもちろん、この日限りの書き下ろしネタ、豪華スペシャルコラボ、あの江頭2:50の乱入など、バズる要素がそろっているだけに楽しみだ。