テレビ解説者の木村隆志が、先週注目した“贔屓”のテレビ番組を紹介する「週刊テレ贔屓(びいき)」。第237回は、13日に放送された日本テレビ系バラエティ特番『ダウンタウンvsZ世代 ヤバイ昭和あり?なし?』(19:00~)をピックアップする。
“世代間バトル”や“ジェネレーションギャップ”は、このところ民放各局が、一定の視聴率を確保しながら若年層を取り込むための手法として採用してきた企画の1つ。いずれもさほど成功を収めていないところは気になるものの、「盆休みの真ん中にダウンタウンの新特番」と聞いて期待感が高まっていた。
■1つ目の笑いは“シャンプー仮面”
番組は「Z世代のみなさんこれ知っていますか?」というナレーションで始まり、昭和45年放送の『暮らしの豆辞典』で特集されたシャンプーハットが映し出された。さらに、昭和40年代前半はダウンタウンの2人を含め、「自宅にお風呂がある人は6割程度だった」という事実が紹介される。
つまり当時は毎日シャンプーをする習慣がなかったのだが、昭和60年代になると、「モーニングフレッシュ」CMなどの効果もあって“朝シャン”ブームが到来。話題は昭和のシャンプーハットに戻り、「現在のシャンプーは弱酸性だが、昭和のシャンプーはアルカリ性のため目が痛かった」という。
その悩みを解消するシャンプーハットは1カ月で100万個を売り上げたが、ヒットにあやかって発売された“シャンプー仮面”は不発。シャンプーハットだけで終わらせず、あやしげな仮面で笑いを誘ってオチをつけるところが、いかにも日テレらしい。
次にピックアップされたのは、昭和41年の飛行機内。乗客たちが喫煙していたのだが、それだけでなく国会の政治家、病院の医師がタバコを吸いながら仕事する映像が流れ、「当時の男性喫煙率は83.7%」だったことが明かされた。続いて映し出されたのは、昭和57年のノーヘルで原付を走る人々の姿。昭和61年に義務化されるまでノーヘルだったという。
ここまでわずか5分。昭和の映像を令和との対比を入れながらふんだんに見せて、スタジオトークに突入した。たっぷりの情報と笑いを凝縮した映像の密度は濃く、かなりの時間をかけて撮影・編集しているのだろう。
スタジオの顔ぶれは、昭和世代に、伊集院光、麒麟・川島明、島崎和歌子、清水ミチコ、古田新太、南野陽子。Z世代(1990年代半ば~2010年代生まれ)に、あの、池田美優、谷まりあ、四千頭身・都築拓紀、トラウデン都仁、濱田龍臣、本田望結、SixTONES・森本慎太郎、HKT48・矢吹奈子、ゆうちゃみ。
Z世代はあらゆるジャンルの若手をそろえ、さまざまなリアクションが期待できるメンバーであり、昭和世代はそれを毒気たっぷりのコメントで返せるトーク巧者が勢ぞろい。開始5分でスタッフの妥協なき制作スタンスが伝わってきた。
■フォークダンスを踊るダウンタウン
下記に約3時間の番組で扱われたトピックスを順に挙げていこう。
最初のトピックスは「昭和の暮らし」で、ネズミ捕り、ハエ取り紙、白蛇占い・泉アツノを紹介。続くルーレット式おみくじは、スタジオのZ世代の30人が「ありか、なしか」を判定するコーナーを設けて、「あり25人・なし5人」だった。
さらに、脱水用ローラー付き洗濯機、水銀の体温計、赤チン、混雑率300%の満員電車、ウォッチバンドカレンダー、昭和の流行語「ナウい」「イタ飯」「ツーカー」、芸能人や野球選手の住所が名鑑に書かれていたことを紹介。
2つ目のトピックスは「昭和の子ども」で、ぶら下がりシーソーや回旋塔などの遊具、カラーひよこ、ゴムとび、グルービーケース、乾布摩擦、不幸の手紙、こっくりさん、棒倒しや組み体操のピラミッド、クジラの唐揚げやミルメークなどの給食をピックアップした。
続いて、お菓子をフィーチャーし、麦を焙煎して砂糖と水で溶いたはったい粉をスタジオで試食。Z世代の評価は「あり4人・なし6人」だった。さらに、ポン菓子をスタジオで実践し、Z世代の評価は「あり10人・なし0人」。
3つ目のトピックスは「昭和の学校」で、二宮金次郎像、ブルマ、座高測定、ぎょう虫検査、焼却炉、飼育小屋、名札、皆勤賞、連絡網、家庭訪問、プールの洗眼を紹介。男女が手をつなぐフォークダンスはZ世代の評価が「あり19人・なし11人」で、スタジオの昭和世代がフォークダンスを踊った。
さらに、牛乳瓶のフタを使った「パッ」遊び、ビー・バップ・ハイスクール、オキシドールで髪を脱色、薄いカバン、なめ猫を紹介し、ダウンタウンが50年ぶりに「パッ」ゲームで遊ぶシーンが放送された。
4つ目のトピックスは「昭和のヒット商品」で、赤青立体メガネ、アメリカンクラッカー、キャベツ畑人形、睡眠学習器、スタイリー、モーラー、ママレンジ、カラー竹馬を紹介。
5つ目のトピックスは「昭和の恋愛」で、お見合い、ビデオお見合い、ラブレター、体育館裏での告白、消しゴムに好きな人の名前を書いて使い切るおまじない、ナンパ、ナンパ橋、ペンフレンド、家電話、ポケベル、待ち合わせ、駅の伝言板、ペアルックを紹介し、2つ合わせるとハートになるペンダントにZ世代の評価は「あり12人・なし18人」だった。