最後の競技は、3mの棒を握り合い相手を円から出して勝ちとなる「ザ・ストロング・ポール」。この競技だけは力士と芸能人の混合トーナメント戦だったが、1人欠員が出たことでスタジオゲストの女子プロレスラー・ジュリアが急きょ参戦を直訴する。これによって「力士VS女子プロレスラー」という新たなエンタメ性が加わることとなった。
トーナメントでは2回戦でしらすが玉鷲を、ノッコン寺田が若隆景を破る金星。続く準決勝では大熱戦の末に逸ノ城がしらすに逆転勝ちし、碧山がノッコン寺田に「ザ・アタックボム」のリベンジを果たした。結局、「逸ノ城VS碧山」という力士同士の決勝戦が行われ、碧山が優勝。
最終結果も力士チームが3勝2敗1分けで勝利し、角界としては最高のエンディングとなった。事実、最後に横綱・照ノ富士が「自分の出番がなかったんで、(次は)出番を出してくれるくらい強くなって」「みんな強ければ出たかった」と今さら出場をアピール。さらに、二所ノ関親方(元横綱・稀勢の里)が「あらためて力士の怪力が分かった。そんな番組ですごい楽しかったです」とコメントして番組は終了した。
そもそも「怪力」というより相撲寄りの動きや稽古をベースにした競技ばかりである上に、力士たちの力強い相撲シーンを挿入し、「『右を差す』と強いとは」「立ち合いの衝撃は1t」などの解説を入れたことなど、「相撲のタイアップ番組か」と思ってしまうほどの持ち上げ方が気になってしまった。
力士側が「恥をかかせられない」とばかりに横綱・大関を勝負に出さなかったこと、対戦相手に怪力アスリートではなく芸能人にしたことも含め、もう少しガチンコ感や対決ムードが欲しかった感は否めない。
番組全般を見渡すと、力士の巨体に加えて芸能人の筋肉美を楽しめるシーンも多く、その対比はビジュアル面での面白さを感じさせた。また、乃木坂46のセンター・山下美月をゲストMCに迎えたほか、池田美優と生見のリアクションを多めに映して“美女と野獣”感を醸し出していたこと。レフリーに獣神サンダーライガーを起用してゆるさを添えたことなどに、ゴールデン特番らしいバランス感覚が見られた。
力士たちにつけられた意味不明のキャッチフレーズや、3時間という長時間放送も含め、これらのいわゆる“テレビ的な構成・演出”は本当に効果的なものなのか。もう変えなければいけない時期に来ているのではないか。どこよりもスポーツバラエティに力を入れてきたTBSだからこそ、あらためて考えてほしいところだ。
今春に放送された予選会では、ある競技で勝敗が一方的になり、「勝負の均衡を図ろうと挑戦者たちが有利な形に作りすぎました。スタッフ一同大反省しております。そしてこの経験は夏の本戦に必ず生かします」というナレーションが流れるシーンがあった。スタッフが真摯(しんし)に取り組んでいるのは間違いないだけに、『怪力バトルフィールド』の第2弾も期待して待ちたい。
■次の“贔屓”は……お盆のド真ん中にダウンタウンの新特番! 『ダウンタウンvs Z世代』
今週後半放送の番組からピックアップする次回の“贔屓”は、13日に放送される日本テレビ系バラエティ特番『ダウンタウンvs Z世代 ヤバイ昭和あり? なし?』(19:00~)。
注目の内容は、「ワイルドな子どもの遊び、謎のヒット商品、個性的な人気者など、昭和の“ヤバい”側面を振り返り、昭和生まれ世代と平成生まれのZ世代によるトークバトルも繰り広げられる」という。
“世代間バトル”や“ジェネレーションギャップ”と言えば、ここ数年間、民放各局が「一定の視聴率を確保しながら若年層を取り込む」ための手法として採用してきた企画の1つ。いずれもさほど成功は収めていないところは気がかりだが、「盆休みのド真ん中にダウンタウンの新特番」と聞けば期待せずにはいられない。