巨額の借金を背負うことになった由美子さんは、それでも「毎日朝起きてニコニコとした顔見るだけで幸せ」と笑い、一方の節夫さんは「由美子が毎朝チューをせがむ。1日30回くらい。今は15回くらいだけど、もうちょっと減らしてほしいな」と赤裸々に語った。
さらに、由美子さんが「フワフワっとした感じが好きなんです」とノロけて、井上が「照れちゃいますね」とコメントしたところでトークは終了。最後に1組目の高良夫妻による「新婚さんめんそ~れ! カーニバル」が始まった。
サンバチームを従えて妻・佳代子さんが登場すると、ゆりやんが藤井にダンスを迫り競演がスタート。そこに勝盛さんが派手な衣装で登場し、夫婦でサンバのステップを踏んだ。ダンス終了後、佳代子さんは「もうで~じ(すごく)最高です」と語り、勝盛さんも「全然恥ずかしくないさぁ~。とっても楽しい」と笑顔を見せて番組終了……ではなかった。
藤井が「これでもう収録自体もOKなんですけども、せっかくですからもう一度音楽をくださ~い!」と叫んで全員でのサンバダンスが再開。藤井がそのまま最前列で踊り狂いながら「センキュー!」と絶叫したところで、番組は終了した。ダンスに限らず動きの大きい新婚さんは藤井との相性が良さそうであり、今後も積極的に採用されていくのではないか。
リニューアル後の変更点で触れなければいけないのは、やはり“新婚さんサポーター”だろう。これは「新婚さんに関する情報提供や願いを叶える」というアクセント的な演出であり、司会の藤井と井上が事前に会わないことから置かれたポジション。今回は、ゆりやんレトリィバァだったが、これまでオズワルド・伊藤俊介、インディアンス・田渕章裕が出演している。
ところが、SNSやニュースのコメント欄などネット上の動きを見ていると、このポジションの評判が芳しくない。「芸人がさわぐコーナーはいらない」「『新婚さん』に求めているものではない」などの否定的な声が多く、芸人のファンを誘うことはできても番組のファンを失うリスクをはらんでいる。
また、番組公式TikTokに絡めたカップルの仲良し動画を紹介する「ラブラブさんいらっしゃい!」という新コーナーが時折放送されているが、こちらも賛否両論。「若年層の流入を狙う」という意図は理解できるものの、「未婚カップルもOK」という番組とは異なる基準が受け入れられるのか疑問が残る。
■面白い「新婚さん」が枯渇しない理由
最大の変更点である司会に関しては、新婚さんとの年齢ギャップを考えると桂文枝と山瀬まみの卒業は当然だろうし、藤井と井上はこれ以上は想像できないほどの適役に見える。ただ、藤井がまだ手探りの感がある上に、井上の存在感が想像以上に薄かった。もし「独身」であることが足かせになっているとしたら、制作サイドのフォローが必要ではないか。
その他、新婚さんの入場曲など、細かいところの変更も見られたが、これらは番組全体で見たら大した問題ではないだろう。当番組の強みは、「面白い新婚さんが枯渇しないこと」であり、その点では揺るぎないものがある。
「結婚3年以内の新婚さんで、しかも面白い人」というハードルを越え続けられることは、長い歴史の中ですでに証明されてきた。しかも、今回は2組とも40~60代の中高年層カップルだったが、先週は2組とも20代であり、幅広い年齢層からバランスよく集められている。
面白い新婚さんが枯渇しない最大の理由は、「この番組が好き」という応募者の多さと愛情の深さだろう。また、そんな新婚さんたちと丁寧なオーディションを繰り返し、話しやすいムードを作るスタッフの努力がベースになっていることは間違いなさそうだ。
これほど国民への認知度が高く、さらに知らない若年層でも番組名を聞いただけで内容が分かる番組は他に思い当たらない。TikTokやTwitterで若年層の流入を図っているが、これらは目先の数字に一喜一憂せず長い目で見てほしいところだ。
リニューアル後、視聴率は個人全体で1ポイント前後、世帯で1~2ポイント前後下がったが、それは当番組だけでなく前番組の『ビートたけしのTVタックル』なども同様に落ちている。ひいては全局全時間帯におけるPUT(総個人視聴率)の低下が止まらない苦しい状況だが、当番組はどんな形になっても放送を続けるべきテレビの財産にほかならない。
■次の“贔屓”は……NHKだからこそトガった企画が続々!『レギュラー番組への道』
今週後半放送の番組からピックアップする次回の“贔屓”は、18日に放送されるNHK『レギュラー番組への道「マエストロたちの晩餐(さん)会 江戸前鮨の職人たち」』(23:30~)。
『レギュラー番組への道』は、2020年春からBSプレミアムで放送されていたNHKの開発番組枠であり、今春から総合テレビの土曜深夜に移動。さっそくBSプレミアム時代から評判だった『明鏡止水 ~武のKAMIWAZA~』『希少誌道』のほか、トガった企画が次々に登場し、「その個性は民放を上回っている」という声もある。
次回のテーマは「マエストロたちの晩餐会」。江戸前の鮨職人3人が集い、プライベートな宴を開いたなら……というテーマだが、まったくどんな内容か読めないところに興味を引かれてしまう。これまで放送された番組も踏まえて、その可能性を探っていきたい。