続いて番組は本編へ突入。まずはロシアのウクライナ侵攻がピックアップされ、コメンテーターの三雲孝江、伊沢拓司に続いて発言を求められた三谷は「僕は歴史のドラマを書いているじゃないですか。すごく思うのはどの時代も結局、戦に勝つのは国力が強いところなんですよね」と熱く語り始めた。
さらに、「戦略とか戦術とかあるけども、やっぱり国力。食料があって、兵力があって武器を持っているところがどの時代も強いんですよ。そう思うと、こんなに長引いているということは『ロシアはさほど国力がないんじゃないか』とか、『軍事大国じゃないな、全然』っていうのが白日の下にさらされてしまったような感じがしますね」と、脚本家目線での持論を披露。「今後もこのようなネットニュースにつながりやすいコメントを意図的に交えていくのではないか」という期待感を抱かせた。
CMをはさんで、話題が成人年齢18歳に引き下げに移ると、三谷の服に貼られた初心者マークが2枚に増えている。ボケをはさみにくいところでも、このような小ボケをはさんでいくのだろうか。
「大人になった初日に密着 18歳の価値観に変化」と掲げたVTRが終わり、伊沢、三雲、安住がコメントを終え、ラストを任されたのは三谷。「どうせ引き下げるんだったら、もっと引き下げたい気がしますね。6歳とか。今の子どもは大人ですからね。それくらいから選挙権とかあげちゃって」「すごい真面目に投票すると思いますよ。政治家も一生懸命子どもたちに語りかけるじゃないですか。悪いことないと思います。来年から6歳でいきたいと思います」とまくしたてた。
どこまでが本気で、どこまでがボケなのか。真意の読めないコメントだったが、安住に「いったんコマーシャルいっていいですか?」とあっさり回収された三谷は「えっとね……まあ、いいよ……」と返して笑わせた。よく見ると、初心者マークが3枚に増えている。
■最後の最後に新井恵理那が種明かし
CMが明けると、安住から「新コーナーは三谷さんが大河ドラマの執筆で忙しいからしばらく立ち上がらないそうです。それまでの暫定企画のようです」という説明があったが、隣の三谷に目をやると、初心者マークが4枚に増えている。
その暫定コーナーは「FOCUS 超せっかち社会の落とし穴」で、「20~60代のおよそ3人に1人が倍速視聴を経験している」というデータから、その弊害を紹介。倍速視聴は自律神経を乱しやすく、頭痛、めまい、食欲不振などの影響があることを検証し、対処法を説いたが、ここでは映像のみでコメントはなかった。
続いて、検索数をベースに20位からカウントダウンしていく「ニュースワードランキング」のコーナーへ。「令和の新歌姫」としてmiletのインタビューなどを放送し、コメンテーターはサッカーワールドカップや大谷翔平について語ったが、ここでも三谷のコメントはなし。しかし、服の初心者マークは5枚に増えていた。
さらに、残り10分を切って「JNN NEWS」でウクライナ関連の新情報を紹介したとき、初心者マークが6枚に。CMをはさんで新井恵理那のお天気コーナーが始まると初心者マークが7つになり、増えた1枚は顔に貼られていた。最後までこれほど細かい芸を続けるのは、やはり芸人ではなくクリエイターならではだろうか。
安住が「番組も14年目を迎えて今日からリニューアルをしています。番組のロゴ、テーマ曲、そして三谷さんを迎えて今年もお伝えしてまいります」と番組を締め、三谷はガッツポーズをしながら「頑張ります!」と力強く宣言。すぐにカメラは屋外にいる新井に切り替わり、桜の木を指さしながら「桜も“マーク”もいっぱい散りますね。また来週です」という言葉で終了した。
「マーク」とは初心者マークのことなのだろう。そして、「その初心者マークは桜の花びらにたとえて服の上に散らしていた」ことが最後の最後に種明かしされた。何ともシュールだが、タイムリーでもあるとともに、「最後の結末まできっちり楽しませる」という脚本家らしい演出に驚かされる。
終わってみれば初回から「これぞ三谷幸喜」と思わせる言動ばかりで期待に応えていたのではないか。それと同時に、「つくづくビートたけしは真面目に取り組んでいたな」と感じさせられた。賛否はあれど、飽和状態の報道・情報番組に新しい風が吹いたことは間違いない。
■次の“贔屓”は……松本人志が新作コントを描き下ろし!『キングオブコントの会』
今週後半放送の番組からピックアップする次回の“贔屓”は、9日に放送されるTBS系バラエティ特番『キングオブコントの会2022』(19:00~)。
「『キングオブコント』にゆかりのある芸人たちが、この番組のために書き下ろした新作コントを披露する」というコンセプトのネタ特番であり、昨年6月12日に続く2度目の放送となる。
「歴代王者12組に松本人志、さまぁ~ず、バナナマンを加えた32名が出演」「芸人自ら脚本・演出・キャスティングした新作コント19本」「松本人志が新作コントを描き下ろし」という充実の構成は、特大の話題と笑いに結びつくのか。
「日本一豪華なコント番組」というコピーに加えて、東京03・飯塚悟志が「あんまりハードル上げたくないけど、やっぱり面白い」、空気階段・鈴木もぐらが「すごくイイものができあがったと思います」と語るなど、随所に自信のほどがうかがえる。このコラムではコントの内容だけでなく、特番としてのポテンシャルなども掘り下げていきたい。