結局、生き残った尾形、小栗、ジェシー、中澤、フワちゃん、ラミレスの6人が合流して“ラスボス鬼”の待つ鬼牙城へ。『逃走中』のような脱落者の復活制度はなく、残り放送時間は約40分。どれだけ盛り上げられるのか。
最初の関門は、鬼に関することわざをヒントにロッカーを開ける「鬼ロッカー」だったが、いきなり中澤が脱落。続いて、バレーボール元日本代表の山本隆弘がふんした“スパイク鬼”に小栗、ラミレスが相次いで脱落し、残り3人が“ラスボス鬼”と対峙(たいじ)することになった。
対面した3人に「よくここまできたな」と声をかける“ラスボス鬼”。そのセリフは『風雲!たけし城』の最終決戦を彷ふつさせるものだった。“ラスボス鬼”が約100キロの弾丸バズーカ砲を放つ上に、4体の“手裏剣鬼”も登場し、フワちゃんが脱落。さらに“ラスボス鬼”が戦闘車に乗って挑戦者を襲うという、ますます『風雲!たけし城』を想起するような攻撃によって、ジェシーが脱落してしまった。
最後に残ったのは、ここまで大半のシーンで仲間のおとりになって体を張り続けてきた尾形。大雨にも降られて絶体絶命の中、玉砕覚悟で接近戦を挑んだ尾形が“ラスボス鬼”を倒して32万円を獲得した。これまでの6回すべてに出演してきた尾形の経験勝ちといったところかもしれない。
尾形は「鬼タイジ大成功やったぞー!」と叫び、「こうして鬼に支配され書けた房総半島に平和が戻った。そしてラスボス鬼の正体はバナナマン・日村勇紀だった」というナレーションが流れた。しかし、目を覚ました日村は「あっ、そうか。俺、ハリーポッターの応援大使やってたんだ」と舞台の告知をし始め……さすがに何の関連もない告知をさせられる日村が気の毒に見えてしまった。
最後は逃げたシターラが、「次のラスボス誰にしようかな」とつぶやき、「to be continued…」の表示。黒幕はシターラであることが明かされて番組は終了した。
■頑張った人が報われたエンディング
あらためて番組をじっくり見ると、多くのゲスト、意表を突くトラップ、細部にわたる美術などから、「テレビマンがさまざまなエンタメを絡めて作り込んだアトラクション」という印象が残った。この点は“鬼ごっこ”という遊びから離れない『逃走中』とは対照的だ。
ただ、翌日放送された『逃走中』も鬼ごっこの範疇を守りながらも、巧みにハンターを増減させるなど、緩急をつけたミッションはさすがのクオリティ。時間配分やハンターの配置など、精密にコントロールしながら盛り上げている様子が伝わってきた。
その他の決定的な違いと言えば、『THE鬼タイジ』は終始チーム戦である一方、『逃走中』はほぼ個人戦であること。そのため前者はチームワーク、後者は人間性が見どころのひとつとなっている。『逃走中』で参加者の言動がしばしば称賛や批判の対象になっているのはそのためであり、「賛否の“否”が出づらい」という点で『THE鬼タイジ』は、視聴者の反応強度で劣るかもしれない。
また、『THE鬼タイジ』が素晴らしかったのは、4チームの向かうエリアに変化をつけ、それを代わる代わる映して映像に変化をつけ、視聴者を飽きさせなかったこと。さらに、多彩な鬼、ディテールにこだわった廃墟、ド迫力の爆破など、演出や美術の工夫は素晴らしいものがあった。
結局、『THE鬼タイジ』は尾形が32万円、『逃走中』は朝日奈央が78万円を獲得。尾形の奮闘は前述した通りだが、朝日もクロちゃんからアイドルの日向坂46・丹生明里を守り、20体のダミーハンターを消滅させるなど大活躍。ともに「頑張った人が最後に報われる」というエンディングだった。
『逃走中』は、「ほとんど動かず隠れ続けていたマヂカルラブリー・村上が賞金を獲得する」というエンディングでも面白かっただろう。一方、“ラスボス鬼”との激しい戦いを考えると『THE鬼タイジ』は、そのような賛否を生むようなマルチエンディングがあり得ないのではないか。
もともとアトラクション型のゲームバラエティは、好き嫌いがはっきり分かれるコンテンツであり、「やっている人はハラハラドキドキで熱くなれるけど、見ている人は冷めてしまう」というケースが少なくない。特に年齢層が上がるほどこの傾向があり、やはり若年層向けのコンテンツなのだろう。
余談だが、ちょっと笑ってしまったのは、三浦知良の長男・りょう太が『THE鬼タイジ』、次男・孝太が『逃走中』に連日出演していたこと。その他、中澤佑二、林家三平の出演もかぶっていたことから、局を越えてテレビマンの考えることは似てしまう……とあらためて感じさせられた。
■次の“贔屓”は……大物芸人が集結した豪華企画なのか!? 『爆さまネプナイン』
今週後半放送の番組からピックアップする次回の“贔屓”は、27日に放送されるフジテレビ系バラエティ特番『爆さまネプナイン』(20:00~)。
今年元日の『第55回新春!爆笑ヒットパレード2022』で初共演を果たした爆笑問題、さまぁ~ず、ネプチューン、ナインティナインが再集結。フジテレビに眠る4組の初々しい映像や衝撃映像などをもとにクイズを出題し、トークを繰り広げるという。さらに、かまいたちとハライチの2組が進行役を務めるだけに、世代をまたぐようなトークも期待できるのではないか。
4組のネームバリューが掛け算のように相乗効果を生むのか。それとも、ただ大物を集めただけで、足し算にすらならず終わってしまうのか。