番組は再び「松岡修造のイミシーン」で、スキージャンプ混合団体の高梨沙羅選手と、スノーボード男子ハーフパイプ・金メダルの平野歩夢選手をピックアップしたが、選手本人たちは登場せず、番組用のインタビューもなく、松岡修造と長嶋一茂が語り合うだけだった。
最後に、スタジオ出演者が選ぶ「イミシーン」として、百田夏菜子が「フィギュアスケート女子の坂本花織選手がロシアのシェルバコワ選手と抱擁」、新井恵理那が「カーリング女子が1次リーグ終了後のインタビューでうれし泣き」を選んで番組は終了した。
番組全般で気になったのは、情報番組のような笑いを交えない落ち着いたトーンでありながら、ギャグ漫画風のイラストを多用して“ゆるさ”を加えようとしていたこと。進行役の男性ナレーションに、視聴者目線で疑問や感想を語る女性ナレーションを織り交ぜたバラエティ風の演出も含め、制作サイドの迷いが見えた感がある。
他局の北京オリンピック特番に目を向けると、まずTBSの『北京オリンピック総集編』は、閉会式前というフライング放送にやはり違和感があった。視聴者の感情より編成の都合を優先させたようにしか見えず、内容的にも急いだ分、よくある総集編に留まったのではないか。
次に日テレの『くりぃむしちゅーの! THE・レジェンド北京五輪SP』は、閉会式翌日というベストに近いタイミングでの放送に加え、適度に笑いを誘う演出が祝福とねぎらいのムードを作っていた。スタジオ出演のアスリートはわずかだったが、コメントを求めるシーンが多く、最も活気があったのはこの番組で間違いない。
フジの『ジャンクSPORTSメダリスト集結! 北京五輪舞台裏を大告白! 超豪華3時間SP』は、北京オリンピックの扱いが1時間のみで、扱ったアスリートも4人。まるで「北京オリンピック特番の放送はあきらめよう」という消極的な姿勢が見えた。ただ、コロナ禍の制限を考えると、今回に限っては「これもアリ」な選択だったのかもしれない。
ちなみに、ビデオリサーチ調査・関東地区の視聴率は下記の通り。
『北京オリンピック総集編』(TBS)個人4.3%・世帯6.7%
『くりぃむしちゅーの! THE・レジェンド北京五輪SP』(日テレ)個人5.8%・世帯9.7%
『修造&一茂のイミシン・北京オリンピック名場面SP』(テレ朝)個人4.7%・8.0%
『ジャンクSPORTS メダリスト集結! 北京五輪舞台裏を大告白!』(フジ)個人4.3%・世帯6.3%
この数字だけを見れば、目玉のカーリング女子を筆頭に旬のアスリートたちを集めて盛り上がれなかったことが、視聴者の関心を集められなかった最大の理由なのかもしれない。しかし各局がジャパンコンソーシアムだけでなく、現地にスタッフを送って取材し、それなりの素材があるだけに、高視聴率が獲れなくても特番を放送するのは当然だろう。
今回は不運な部分が大きかっただけに、2年後のパリオリンピック、4年後のミラノ・コルティナオリンピックでは、各局が思い通りの特番を放送できるよう祈りたい。
■次の“贔屓”は……審査員も審査方法も大きく変わる! 『R-1グランプリ2022』
今週後半放送の番組からピックアップする次回の“贔屓”は、6日に放送されるカンテレ・フジテレビ系バラエティ特番『R-1グランプリ2022』(20:00~)。
もはや説明不要のピン芸人日本一決定戦だが、「芸歴10年以内」という出場資格が加わった昨年はネタに加えて演出・審査など、さまざまな不満な声が飛び交う不本意な大会となってしまった。記念すべき20回目の今回はどうなのか。
今大会の決勝進出者は、kento fukaya(吉本興業)、サツマカワRPG(ケイダッシュステージ)、金の国 渡部おにぎり(ワタナベエンターテインメント)、ZAZY(吉本興業)、吉住(プロダクション人力舎)、お見送り芸人しんいち(グレープカンパニー)、寺田寛明(マセキ芸能社)の7人に復活ステージの勝者を含む8人。審査員にバカリズムと小籔千豊が加わったほか、審査方法を大幅に変えるなど、意欲的な姿勢が見られるだけに期待してよさそうだ。