続く「このオンナコワすぎる! オンナ妖怪ランキング!」の5位はろくろ首「攻撃力60 恐怖度65」。4位は濡れ女「攻撃力75 恐怖度50」。3位はふた口女「攻撃力20 恐怖度30」。2位は隙間女「攻撃力50 恐怖度70」。1位は雪女「攻撃力80 恐怖度50」。特筆すべきは2位の隙間女で、「平成の中ごろに現れた現代の妖怪」という新たな設定が見られた。
次のランキングは企画の切り口だけで笑えてしまう「何がしたいか分からない! ジジイババア妖怪ランキング!」。5位は臼負い婆「攻撃力0 恐怖度40」。4位はぬらりひょん「攻撃力10 恐怖度30」。3位は砂かけ婆「攻撃力50 恐怖度10」。2位はターボババア「攻撃力10 恐怖度70」。1位は子泣き爺「攻撃力50 恐怖度50」。
ここで「学校の怪談90年代の都市伝説 トイレの花子さんを知っていますか?」というミニコーナーが挿入され、トイレの花子さん「攻撃力30 恐怖度50」が登場した。
再び「鬼強い! 最強の鬼ランキング!」に戻って、3位の牛鬼「攻撃力90 恐怖度90」を紹介。1062年に福岡県久留米市の観音寺住職・金光上人が牛鬼をお経で退治し、安置されている手のミイラを披露して視聴者を驚かせた。
2位は酒呑童子「攻撃力100 恐怖度90」で、妖怪軍団のボス・酒呑童子vs妖怪ハンター・源頼光との戦いを再現。いよいよ1位……と思わせておいて、その前に『まんが日本昔ばなし』の“鬼VS人間”の名作「一寸法師vs鬼」「羅生門の鬼」の2本を紹介した。
そして1位は地獄の鬼「攻撃力MAX 恐怖度MAX」。金棒で叩いて殺し、生き返らせて、また金棒で叩いて殺し、また生き返らせる……を1兆6,600億年繰り返す「等活地獄」の鬼。煮て、炙って、死んだら生き返らせて、また煮て、炙る……を852兆6,400億年繰り返す「叫喚地獄」の鬼。他地獄の1,000倍苦しい炎で焼いて一瞬で灰にし、生き返せて、また一瞬で灰にして……を無限に繰り返す「阿鼻地獄」の鬼を紹介した。
次のコーナーは、「妖怪を法で裁くと刑はどうなる? 即タイホ! 犯罪妖怪ランキング」。5位は枕返し「攻撃力35 恐怖度40」で、住居侵入罪、暴行罪の懲役1年6カ月。4位はあかなめ「攻撃力25 恐怖度45」で、住居侵入罪、器物損壊罪の懲役1年6カ月。3位は髪切り「攻撃力30 恐怖度45」で、傷害罪の懲役3年以上。2位は尻目「攻撃力50 恐怖度70」で、公然わいせつ罪の罰金20万円。1位は柿男「攻撃力不明 恐怖度80」で、住居侵入罪。強要罪の懲役1年6カ月。
これも「地獄の鬼のエグさから変態妖怪の落差を見せつつ、さらに法律を絡める」という巧みな構成だった。
■妖怪特番は「あと100回放送可能?」
続けざまに「出くわしたら必ず不幸が訪れる絶対にロックオンされたくない! 妖怪ランキング!」へ移り、3位は火消し婆「攻撃力10 恐怖度50」、2位はクネクネ「攻撃力60 恐怖度60」、1位はつるべおとし「攻撃力65 恐怖度65」を紹介。さらに、妖怪からロックオンされたときに逃げ切ったエピソードとして『まんが日本昔ばなし』の名作「三枚のお札」につなげた。
最後に「レアな女妖怪」として、けらけら女「攻撃力40 恐怖度50」、骨女「攻撃力25 恐怖度45」をピックアップ。エンディングトークでは、柴田英嗣の「妖怪は3,000いますから。今日は30~40くらいしか出てない」というコメントに山崎弘也が「あと100回(放送)できるんだ」と呼応。視聴者に「じゃあ次回の放送も期待できるのかな……」と思わせておきつつ、劇団ひとりが「でも明らかに後半の妖怪、弱かったよ」と自虐で笑わせて番組を締めくくるセンスのよさを見せた。
放送前は「さすがに3時間は長いのでは?」と思っていたが、見始めるアッという間。なじみのある妖怪から、聞いたこともない妖怪、少しだけ怖い妖怪、笑いしか誘わない妖怪までの幅広いピックアップで楽しませてもらった。
また、劇団ひとりが人間に砂をかけるだけの砂かけ婆を見て、「これ人間の可能性あるな」とツッコミを入れていたが、『ゲゲゲの鬼太郎』のイメージと異なる姿に意外性を感じた視聴者もいただろう。「妖怪には諸説あり、まったく違った見方もできる」。ところが何気に奥深く、エンタメにつなげやすい余白を感じさせた。
それにしても、テレビ番組だけでなく、映画、YouTube、国立国会図書館の資料など、さまざまな素材をそろえたスタッフの奮闘は見事。再現ドラマ、イラストやCG、関係者インタビュー、荒俣宏の解説などを織り交ぜた映像の作り込みに少なからず感動を覚えてしまったくらいだ。
結果として、不思議、笑い、学び、怖さなど、さまざまな楽しみ方のできる番組になっていたし、実際Twitterなどネット上で盛り上がっていたことからも、それがうかがえる。『鬼滅の刃 遊郭編』最終回の放送日という企画が実現しやすい好条件こそあったが、「令和の時代に妖怪?」「しかも3時間?」というトライをした勇気も含め、「こういう熱気のあるコンテンツがテレビへの親しみを保っていく」というお手本のような番組に見えた。
■次の“贔屓”は……NHK『家族になろうよ』とコラボ!『I LOVE みんなのどうぶつ園』
今週後半放送の番組からピックアップする次回の“贔屓”は、19日に放送される日本テレビ系バラエティ番組『I LOVE みんなのどうぶつ園』(毎週土曜19:00~)。
今回は「NHK『家族になろうよ』とコラボ保護猫保護犬スペシャル!」を放送。「相葉雅紀、桝太一アナ、鈴木奈穂子アナの保護犬散歩」「サンシャイン池崎家の新入り保護猫・豆大福に急展開!?」「佐野勇斗が預かる元野犬・ウォンカがドラマ撮影現場で西島秀俊&芳根京子と初対面へ」などが予定されている。
動物番組に向けられる視聴者の目が厳しくなる中、メイン企画となった保護活動の描き方にはどんな変化が見られるのか。また、『あさイチ』スタジオ潜入や、どーもくんの登場が予告されているが、NHKとのコラボはどんなものになるのか。掘り下げていきたい。