最後は全てのメンバーが集まってのトークタイム。まず、さらば青春の光・森田哲矢が「単独ライブとかでネタの期限とかあるじゃないですか。『マジでできへん』みたいなことあるんすけど、そんなことありますか?」と尋ねた。
これに飯塚が「ウチはさほどないかな。本数は僕が3本、角ちゃん(角田晃広)が3本、作家のオークラが1本。(計)7本って決まってて」と話すと、さらば青春の光・東ブクロが「角田さんが2本しか出ないときはどうするんですか?」と尋ね、飯塚は「オレが4本。そこは頑張る」と即答。
続いて、バカリズムが「僕は7本やるとしたら、何となくオープニングはこんな感じのネタやって、Aパターン、Bパターン、Cパターン、Dパターンと想定して、そこに当てはめる形で考える。そのときに『本当はCパターンのネタがほしいけど、浮かばないからDパターンにしとけ』みたいな妥協はある。まったく出てこないことはないけど、『ここが不本意だな』ということもある」とコメントした。
特にバカリズムの「構成先行でネタを考える」というトークは、なかなか芯を食ったものであり、この番組の魅力と言っていいだろう。だからこそ、こんなトークがもっと聞きたい。
続いて、ニッポンの社長・辻が「漫才のとき、どういう顔して出ていったらいいか……。コントがずっと多くて漫才やり出したとき、どこ見たらいいか分からなくて。笑顔のほうがいいかとか」と尋ねると、飯塚は「それが分からなくて漫才やってないのもあるかもしれない」とコメント。
さらに、バカリズムが「俺らからすると毎回板つきだから、あの(登場の)時間って何の意味もない時間だって思っちゃう」と毒を吐くと、漫才師の澤部が「カッコイイでしょ」とフォロー。しかし、バカリズムは、「笑いだけを考えたとき、別に必要ではない。僕らはそこがないから」とひるまない。
飯塚から「『あそこから始まっている』みたいな感じはあるの? 漫才師の人は」と尋ねられた澤部は「今けっこうトレンドだよね。鬼越(トマホーク)だったら、そこからケンカして出てくるみたいな」と返した。
■漫才の登場がカッコイイ芸人1位は?
ここで、森田が「衝撃受けたのは(オードリー)春日(俊彰)さん」と話を広げると、バカリズムも「あれは発明だもんな。出てくる意味がある。ウンウン」と納得。さらに、澤部が「ウチは何にもしないけど、バーッって(拍手しながら)出てっていたんですよ。そしたら中川家さんが、『手を叩くのはお客さんがやることやから芸人が叩くものちゃうやろ』って。そっからやめて」と登場方法を掘り下げた。
ここで画面下部に「若手芸人37名に聞いた漫才の登場がカッコイイ芸人 1位:オードリー(13票)、2位:金属バット(7票)、3位:真空ジェシカ(4票)」の文字が表示。30分番組だから仕方ないのだが、金属バットと真空ジェシカの登場シーンくらいVTRで見せてほしかった感がある。トークに合わせてアンケートを取ったことは素晴らしいだけに、他のネタ番組と差別化するのなら、このあたりはマストではなかったか。
あらためて番組全体を振り返ると、「妬み」というより「称賛」が目立った。特にバカリズムと飯塚はクールなキャラクターで難しさもあるだろうが、もっともっと妬んでもらったほうが、芸人とネタのすごさが伝わるだろう……という意味ではハライチ・岩井勇気も呼んでほしかった感がある。
ただそれ以上に、「もっとトークを聞きたかった」「ネタの作り方を掘り下げてほしかった」という印象が強い。実力に加えて現役感も濃いこのMCたちならトークを長めに取り、30分番組なら2組、1時間番組なら3~4組くらいでじっくり見せてほしいと思ってしまった。
芸人にとってモチベーションの高い番組であり、ファンにとっても「普通のネタ番組ともYouTubeのネタ動画とも違う」という意味でわざわざ見る理由がありそうだ。枠の都合などを無視して理想を言わせてもらえば、金曜・土曜の23~24時台あたりでレギュラー化してほしい番組だった。
■次の“贔屓”は……大みそか『紅白歌合戦』の前哨戦か?! 『明石家紅白!』
今週後半放送の番組からピックアップする次回の“贔屓”は、18日に放送されるNHKの音楽バラエティ番組『明石家紅白!』(19:30~)。
今回で10回目を迎える明石家さんまMCの音楽番組。今年は本家『NHK紅白歌合戦』に出演するアーティストをズラリそろえた。
NiziU、鈴木雅之、AI、DISH//、miletが出演するほか、さんまがどんな切り口からトークを盛り上げるのか。とりわけ初対面のNiziU、下積み時代のエピソードが豊富なDISH//、東京オリンピック閉会式に出演したmiletのパートが期待できそうだ。
なぜこの時期に『明石家紅白!』が放送されるのか。年末の音楽特番全体にも話を広げながら掘り下げていきたい。